河北抄(4/10):出会いの春がじだんだを踏んでいる。東京に…

©株式会社河北新報社

 出会いの春がじだんだを踏んでいる。東京に転勤した知人は「何と運が悪いことか」と嘆くことしきり。コロナウイルス禍で自粛、自粛の大合唱にめいりながら赴任した。出勤も外出もままならない。「新宿御苑や上野公園で息子と駆け回りたい」。異動前に思い描いた休日の家族のだんらんもお預け。「息子は学校に行けないから友だちもつくれない。家族は仙台に置いてくればよかった」。口をついて出るのは恨み節ばかり。

 社会人の仲間入りをした若者もストレス充満中。「入社式は中止。一度も出社していない」と仙台市出身の男性。都は「出掛けちゃダメ」、宮城県は「首都圏の人は来ないで」と要請中。都内の友人宅で待機し、研修はインターネットで。全く身動きが取れない。「早く実地研修して実務を身に付けたい。いきなり現場配置は勘弁して」

 緊急事態宣言が駄目を押す。都外はまた遠くなった。新入社員は来月、各地に配属される予定だが…。「ずっと東京に留め置かれるのは嫌だ。早く脱出したい」。旅立ちの春も立ち往生している。