2020ルーキーファイル(大分三好ヴァイセアドラー) 輝かしい経歴を手土産に井口直紀がチームを変える

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 これまでの経歴は華やかだ。大卒新人として大分三好ヴァイセアドラーに加入した井口直紀は、19歳以下の世界ユース男子選手権大会に出場し、福岡東高校2年時に春の高校バレー、全国総体、国体の高校バレーボールの三冠を達成、翌年も春の高校バレー、全国総体連覇を成し遂げた。東亜大学に進学してからも司令塔として活躍し、今年1月には大分三好の内定選手としてJ Tサンダーズ広島戦で先発出場し、V1デビューを飾った。井口は「チームに正式加入する前にトップリーグの試合を経験できたことは大きい。これから戦う相手の力が分かったし、自分が通用する部分も課題も見えた」と希望に満ちあふれている。

 

 強気のトスワークに定評があり、小川貴史監督は「誰に対しても物おじすることなく、どんな試合でも自分らしさを出せる強心臓の持ち主」と評する。昨季のV1リーグでは連敗が続くチームの流れを変えようと、内定選手だった井口を先発に抜擢した理由の一端を明かした。監督の期待に応えようと井口はセンター線からの速攻を相手に意識させて、チームの強みであるサイド攻撃を左右に振り、攻撃の的を絞らせなかった。「あの頃はチームメイトの特徴もそれほど分かっていなかったのでまだまだだった」と振り返る言葉に満足した様子はなく、「今ならもっと良さを引き出せる」と強気な言葉は井口らしい。

 

物おじしない性格はトッププレーヤーの証

 本来であれば5月の黒鷲旗全日本男女選抜大会に向けて猛アピールしたいところだが、コロナウイルスの感染拡大の影響により大会は中止となった。井口は「こればかりは仕方ない。自分のレベルアップにつなげる期間が長くなった」とあくまでもポジティブに考える。「これまでの経歴なんて関係ない。新人らしくガムシャラに練習して、トップレベルで戦える準備をしたい」と謙虚に自分を見つめるが、即戦力として加わった自負もある。チームのセッターは3人。高校の先輩である藤岡諒馬は大きな壁であり、ライバルとなる。「見習うことが多く、アドバイスもくれる大先輩だが、俺がという気持ちを忘れずに競争したい」とスタメン争いに名乗りを上げる。

 

 頭の中はバレーボール一色だ。「勝つために何ができるかを考えている。1セット25点を前半、中盤、終盤に分けて試合プランを考え、ゲームメークする。いろんなバリエーションが考えられ、状況に応じて2手、3手と選択肢を増やす。それを5セット考え、次の試合に移る。ウチのチームならサイドプレーヤーが安定しているので、ミドルのセンター攻撃をどう引き出せばいいか…」と話は止まらない。根っからのバレーボール好きなのがバシバシと伝わってくる。元気なルーキーの登場にチームは活気づいている。

 

俺がという気持ちを忘れずにいたいと話す井口直紀

 

(柚野真也)