ギャンブル依存症の疑い0.5% 横浜市調査、回収率低く疑念の声も

横浜市役所

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致に絡み、横浜市は10日、ギャンブル依存症に特化して初めて実施した実態調査の結果を公表した。面接に応じた成人の市民1263人のうち、過去1年間に依存症が疑われた割合は0.5%で、国が2017年に行った同様の調査(0.8%)より低かったという。

 調査は、国と同じく世界的な簡易スクリーニングテスト「SOGS」を採用し、無作為で抽出した75歳未満の成人3千人を対象に実施。うち、1263人が自宅で委託業者による面接調査に答えた(回収率42.1%)。

 面接調査では、「ギャンブルをどのぐらいの頻度で行っていたか」「負けた分を取り戻すために、別の日にしたことがあるか」「お金の使い方について、同居人と口論になったことがあるか」などを質問。結果、過去1年間に依存症が疑われたのは7人だった。1カ月のギャンブル代は3万円(中央値)で、パチンコ・パチスロに多くの金を費やすケースが目立ったという。

 結果について、同市中区の寿地区で依存症患者を長く診療し、市が推進するIRの誘致に反対する越智祥太医師は「回収率が低い。依存症の疑われる人が調査を避けた可能性もあり、正確性に疑念がある」と指摘。「国より低くなったからといって、『市民には依存症への耐性があり、IRが誘致されても患者は増えない』という根拠にはならない。カジノは日本になく、別次元の話」と話し、誘致推進の根拠の一つとされることに懸念を示した。

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