長崎原爆資料館長・篠崎桂子さん 実相伝えられる場に

長崎原爆資料館 篠崎桂子館長

 今春、被爆の実相を国内外に発信する長崎原爆資料館(長崎市平野町)の館長に就いた。1996年の開館以来、女性館長は初めて。「世界で広島と長崎にしかない、原爆の被害を取り扱った資料館。世界的にも大事な存在」と施設の重要性を強調する。
 88年に長崎市職員となり、主に高齢者福祉などの分野に携わった。2018年、被爆者健康手帳の交付などを担当する援護課長に就任。被爆・平和分野での業務は初めてだった。
 援護課では、高齢化する被爆者の数が、月を追うごとに減少していくのを目の当たりにした。「時間がない」。被爆者なき時代が迫っていることを痛感し、被爆者に体験記を募る施策などに取り組んだ。
 2年間の援護課長時代に得た感覚を、館長の仕事でも常に大切にしていきたいと言う。「被爆者がいない時代に、被爆の実相や平和の大切さをしっかり伝えられる資料館を目指していく」と決意を語る。
 旧西彼三和町出身。「自然が残る神社の雰囲気が好き」で、御朱印集めが趣味という。

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