ヨコハマタイヤのオールシーズンタイヤ「BluEarth-4S AW21」をテスト|四季を通じて得られる安心感

オールシーズンタイヤ「BluEarth-4S AW21」[横浜ゴム]/装着車:フォルクスワーゲン パサートヴァリアント [撮影:茂呂 幸正]

ブルーアース4Sに交換したとたん、急に想定外の雪が降ってびっくり

2020年3月29日日曜日、東京郊外に降った突然の雪

2020年3月29日日曜日、桜が満開となった東京で季節外れの雪が降った。東京や横浜などの都市部でも1センチの積雪を記録し、近郊の内陸部ではさらに降り積もったのは記憶に新しい。

首都圏ではさすがにこの先もう降ることはないだろうが、しかしドライブ先の山間部では、まだまだ季節外れの急な雪に遭遇することもある。5月や11月頃、関東近郊なら日光や軽井沢といった日帰り可能なエリアでも十分にあり得ることだ。

実はこの春、筆者は愛車にヨコハマタイヤのオールシーズンタイヤ「BluEarth-4S AW21」(ブルーアース・フォーエス・エーダブリュー21)を装着していた。

横浜ゴム タイヤ試乗会 欧州で発売されているBluEarth 4S(AW21)を履くマツダ CX-5で、同様に雪上ハンドリングをテストした

さすがに3月末になって都心で積雪に見舞われるとは予想もしていなかったが、おかげで難なくやり過ごすことが出来た。気候変動が激しさを増す昨今に相応しいタイヤだということが、いきなり実感出来たのだった。

さて、この“オールシーズンタイヤ”とはいったいどんなアイテムなのか。冬専用のスタッドレスタイヤとは何が違うのか、そしてブルーアース4Sはどういったところが特徴なのだろうか。これらの疑問について、順を追って紹介していこう。

年間通じて履き替えなくて済むのは、正直嬉しい

開発のきっかけは、欧州での旺盛な冬タイヤ需要

横浜ゴム タイヤ試乗会 欧州で発売されているBluEarth 4S(AW21)を履くマツダ CX-5で、同様に雪上ハンドリングをテストした

ヨコハマタイヤのオールシーズンタイヤ、ブルーアース4Sは、“オールシーズン”の名の通りドライ・ウェット路面から雪道まで、春夏秋冬と様々な路面状況に対応出来るタイヤを目指し開発された。高速道路での冬用タイヤ規制にもしっかり対応している。

低温でもゴムのしなやかさが維持する末端変性ポリマーの採用や、スノーグリップポリマーとウェットグリップポリマーの高バランスな配合により、雪の上や濡れた路面での性能を確保したのだとか。

ブルーアース4Sはもともと、欧州での冬用タイヤ規制強化により、オールシーズンタイヤの需要が急増したことに照準を合わせて開発されている。だから欧州で冬用タイヤとして認証される「スノーフレークマーク」も備えるし、速度域の高い欧州向けに合わせた耐久性能も満たしたという。

欧州では既に2018年より先行発売されており、好調なセールスを記録している。

ベランダに棚を設置して、積んだり降ろしたりして、年2回の交換も依頼して

横浜ゴム タイヤ試乗会 スタッドレスタイヤの現行モデルiceGUARD6(IG60)と、日本未未導入のオールシーズンタイヤBluEarth 4S(AW21)を履き比べる。

筆者もそれまで毎シーズンごとにスタッドレスタイヤに履き替えてはいた。やはり突然の雪に慌てるのは嫌だったからだ。ただ、特にウィンタースポーツをたしなむ訳でもなく、ましてや雪山に別荘がある訳でもない。雪道を走行するケースもあまりなかった。

そのために年2回、マンションのベランダに保管していたタイヤ4本(これがまた結構な場所を取る!)を出したり入れたり降ろしたりする手間、さらにそのたびに交換の予約を入れ作業を依頼し、支払う工賃のことを思うと、ちょっと億劫になっていたのも事実だ。ブルーアース4Sに履き替えて、年間通じタイヤ交換せずに済むのは地味に嬉しい。

もちろん冬専用に特化し開発されたスタッドレスタイヤに比較すれば、積雪路や特に氷上での性能は劣るとメーカーでも表明している。積雪地との往復を頻繁にしたり、あるいは冷え込む早朝・深夜に移動することが多いなら、冬場のスタッドレスタイヤ交換はやはり必須だ。

しかしこれまでのように夏用タイヤか冬用スタッドレスタイヤの二者しかなかった選択肢に、オールシーズンタイヤという“使える”選択肢が加わったことは、やはり素直に喜びたい。

冬以外は、どうなの?

乾燥路面での安定感と、雪の上での安心感を上手く両立

オールシーズンタイヤ「BluEarth-4S AW21」[横浜ゴム]/装着車:フォルクスワーゲン パサートヴァリアント [撮影:茂呂 幸正]

それでは、冬以外の性能はどうだろう。これが面白いくらい「普通」だ。もちろん良い意味で、普通に扱うことが出来た。

交差点や高速道路のランプ(接続部)で曲がった際でも、ブルーアース4Sはヨレたりすることもない。当たり前のことのようで、実はここが大事なポイント。

雪上での性能を確保するためのエッジや溝を確保すれば、その分タイヤはどうしてもヨレる傾向にある。しかしブルーアース4Sの場合、そのあたりの絶妙な落としどころを、2つの性能を両立させたオールシーズン3Dサイプや、大型ショルダーブロックによって見出した。

タイヤからの騒音も気にならず、高速道路でも良好な印象

直進状態で高速道路も走らせてみたが、幅広トレッドが効いているのか安定感はしっかり保たれているし、適度にしなやかな印象だ。

音についても問題なし。最近のスタッドレスタイヤもかつてのように明確な騒音はなくなっているが、ブルーアース4Sはそれ以上に静かだと感じた。もちろん静粛性に注力したプレミアムコンフォート系タイヤほどではないのは事実だが、しかし取り立てて気に障るようなこともなかった。

横浜ゴム タイヤ試乗会 屋内に作られた氷盤路で行ったスラロームテスト。こちらはBluEarth 4Sを装着したマツダ CX-5

それではウェット性能はどうだろう。

筆者はブルーアース4Sを公道でしか試しておらず、濡れた路面のテストコース上で急制動や急なレーンチェンジなどを実感したりはしていないため、断定的なことは言えない。ただ過去のスタッドレスタイヤでの経験と、ブルーアース4Sでの降雨時の印象を照らし合わせると、これまた「普通に」安心して走ることが出来たと思う。

四季を通じてもっとじっくりつきあってみたい

オールシーズンタイヤ「BluEarth-4S AW21」[横浜ゴム]/装着車:フォルクスワーゲン パサートヴァリアント [撮影:茂呂 幸正]

これまでスタッドレスタイヤを冬に履き替えていて、そのメリットも十分に享受してきた。たまーに行く雪国でのドライブの安心感はやはり素晴らしい。とはいえ実際のところ首都圏以外を滅多に走らない我が家の愛車では、年数回遭遇するかどうかの積雪のために、年2回タイヤ交換するのは、思った以上の心理的な負担になっていた。それだけでもブルーアース4Sに換えてみて良かったと感じる。しかもスタッドレスタイヤのように、乾いた路面や濡れた路面で気をつかうこともない。今のところ良いことばかりだ。

しかしまだまだブルーアース4Sとの付き合いは始まったばかり。メーカーによれば、ブルーアース4Sは耐摩耗性能も自慢だという。そのあたりも楽しみにしつつ、四季を通じて得られる全天候型の安心感をたっぷり味わってみたいと思う。

[筆者:トクダトオル(MOTA編集部)/撮影:茂呂幸正・MOTA編集部・横浜ゴム]

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