奉納踊り中止 「仕方ないけど寂しい」くんちファン

7年前に奉納された万屋町の「鯨の潮吹き」=長崎市、諏訪神社(2013年10月7日)

 今年の奉納踊りの中止決定に、本番を楽しみにしていた“くんちファン”らは「仕方ないけれど寂しい」と残念がった。
 「小さいころからシャギリの音が聞こえれば外に飛び出していた」。そう話す長崎市元船町の主婦、山田三保子さん(42)は「町の文化を継承していく、長崎人にとっては大事な行事。誰が悪いわけではないんですけど」と肩を落とした。
 同市八幡町の会社員、森美由紀さん(65)は「10月だからできるかなと思っていた」と通常開催を期待していた一人。今年の踊町の出番は来年に繰り延べとなり、「楽しみに待ちたい。何があってもくんちを応援し続ける」と気持ちを切り替えていた。
 例年、大勢の観光客でにぎわう長崎くんち。奉納踊りの中止は観光業にも影を落とす。長崎国際観光コンベンション協会の浦瀬徹専務理事は「長崎を彩る伝統行事が実施できず残念。ホテル、旅館にとっても苦しいが、感染拡大防止ため、今は人を呼び込むことができない」と頭を抱える。終息後を見据え、インターネットによる長崎の魅力発信を強化していくという。
 田上富久市長は、奉納踊りの中止に理解を示した上で、「これからもいろんな行事で中止が出てくるだろう。コロナを乗り越えた時、長崎の観光自体がレベルアップしていて、多くの人に喜んでもらえるような契機にしたい」と力を込めた。

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