物流の社会人野球チーム始動 逆境の中「やれることを」 熊本県甲佐町の「大福ロジスティクス」

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真剣な表情でノックを受ける大福ロジスティクスの選手たち=美里町砥用B&G海洋センター
 ◇ふじもと・こうじ 1962年、山都町出身。九州学院高では1980年の第52回選抜大会に内野手として出場。日立造船有明、ニコニコドーで活躍し、熊本ゴールデンラークスでヘッドコーチや助監督などを務めた。

 日本野球連盟(JABA)に1月に加盟が認められた大福物流(熊本県甲佐町)の社会人野球チーム「大福ロジスティクス」が4月から活動を始めた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で練習場所の確保にも苦慮する日が続くが、平均年齢19・7歳の若いメンバーは「野球ができる喜びを感じながら、やれることを積み重ねる」と力を込める。

 7日夕、熊本県美里町の砥用B&G海洋センターのグラウンドに球音がこだました。活動以来初めてのシートノックと本格的な打撃練習が行われ、22人の選手たちは思いっきりバットを振り抜いた。1年前に九州工科自動車専門学校(熊本市)から大福物流に入社した山戸直樹(国府高出)は「地元で大好きな野球ができる。感謝の思いでいっぱい」と気持ち良さそうに汗を拭った。

 しかし、コロナ禍で同グラウンドの使用はこの日限りで当面禁止に。練習後に藤本浩二監督(57)から伝え聞いた選手たちは一様に肩を落としたが、椨木(たぶのき)翔主将は「今の状況じゃ仕方ない。やれることをやっていこう」と仲間に声を掛けた。

 専用グラウンドを持たないため、自主練習をしたり、施設を借りてキャッチボールをしたりして、「できる限り」(藤本監督)の活動を続けている。

 同チームは運送・倉庫業の大福物流が、高校野球経験者に競技を続ける機会を提供し、若い人材を確保して会社を活性化させようと創部。選手たちは同社やグループ会社で、倉庫作業員やドライバーとして働き、終業後に練習する。ユニホームを脱いでも熊本に根付いてもらおうと、全員九州出身者から選んだ。

 逆境の中でのスタートとなったが、選手はあくまで前を向いている。元々、物流関係の仕事を希望していた一村利頼(南稜高出)は「希望の仕事に就けて、野球も続けられてうれしい。地域の皆さんに応援されるような選手、チームになりたい」と力強く宣言した。(後藤幸樹)

●若さ前面に守り鍛える 藤本監督インタビュー

 活動を開始した大福ロジスティクスの藤本浩二監督(九州学院高出)に、チーム育成の方針や目標などを聞いた。

 -選手22人の平均年齢は19・7歳。高卒選手が13人と多い。

 「若い人材を確保して会社を活気づけたかった。創部の狙いとしては家庭の事情で大学に進学できないような子の受け皿になりたいという思いもある。22人は仕事も野球も両立すると約束した選手たち。若いけど意欲は高く、伸びしろは大いにある」

 -今季のスローガンは「負けてたまるか」。その意図は。

 「選手たちは仕事を1日(実働で)6時間やり、その後に練習する。両立して続ける難しさを感じるだろう。また、新参チームがいきなり勝てるほど甘い世界ではなく、結果が伴わない悔しさも味わうはず。そんな時も反骨心を燃やし、仲間と乗り越えてほしいという気持ちを込めた」

 -どのようなチームづくりを描いているのか。

 「強豪に勝つにはいかに失点を抑えるかが鍵。投手中心に守りを鍛えて、2-1、1-0で勝てるチームを目指す」

 -最後に意気込みを。

 「会社には選手が暮らす社員寮を新設してもらい、今後は室内練習場やトレーニング設備も導入してもらう。選手たちは野球ができることへの感謝を忘れず、思う存分プレーしてほしい。私としては、若い選手たちを立派な社会人に育てることをモットーに、全国の舞台を目指して一緒に成長していきたい」