ツバキの木を櫛に加工 新上五島・犬塚さん

地元のツバキを使った櫛=新上五島町

 新上五島町似首郷で木工製品の工房を営む犬塚忠生さん(65)が、地元のツバキを活用した「海石榴櫛(つばきぐし)」を製作、販売している。木目が細かく強度が高いツバキは小さな細工をしやすく、櫛に加工するのに向いていると考えた。町観光商工課によると、ツバキ製品の中で、櫛は珍しいという。犬塚さんは「購入した人が五島列島の思い出の一つにしてほしい」と話す。
 犬塚さんは県外での会社員生活を経て帰郷し、定年まで町職員を務めた。在職中は農林関係の業務に長く携わり、地域資源活用に関心を持ったという。ものづくりが好きで、退職後は木工製品の加工技術を学ぶグループに加入。2017年春には自宅の庭に工房を設け、箸などを作っている。
 櫛の材料のツバキは間伐材のほか、公共工事で伐採されたものを土地の所有者から譲り受けている。櫛は昨年4月に発売し、19年度の県特産品新作展「工芸・日用品・その他部門」で優秀賞にも選出された。
 櫛は生木を乾燥させた板材を切り出し、手作業で一つ一つ成形する。縦約5センチ、厚さ約5ミリ、幅約8~11センチ。つばき油を染み込ませているため、髪や肌によいという。
 町内と長崎市内の土産品店などで販売。櫛の手入れ用のつばき油がセットになっており、町内での価格は3300円、町外は3850円。受注生産や郵送にも対応する。犬塚さんは「町のPRにつなげたい」としている。問い合わせは犬塚さん(電0959.54.2241)。

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