横浜市長「ギリギリの判断」 IR事業2カ月延期正式表明

実施方針の公表時期を2カ月延期すると表明する横浜市の林文子市長=市役所

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を巡り、横浜市の林文子市長は15日、IR事業者の公募条件などを定めた「実施方針」の公表時期を、当初の6月から8月に延期する、と表明した。新型コロナウイルス感染症対策を優先しつつ、国の認定申請にも間に合わせるための「ギリギリの判断」(市長)として、先送り期間を2カ月に決めたという。

 市は当初、今月下旬の市会常任委員会で、実施方針案や募集要項案の骨子などを説明。市会の意見を反映させた上で、6月に公表する予定だった。これを市会への説明を6月下旬に、公表を8月にそれぞれ延ばす。

 15日の定例会見で、市長は新型コロナウイルスの感染拡大を心配する声やIR関連事業を停止・延期するよう求める意見が市民や市会から相次いでいることも踏まえ、「総合的に判断した」と説明。延期になった6区での市民説明会も開催する意向を示した。感染症対策の強化として、専念する応援部隊の創設も検討していることを明かした。

 一方で、誘致を撤回する考えがないことを改めて明言。政府が示す2021年1月から7月までの申請期間に「間に合わないということは避けなければならない」とし、▽本年度中の事業者の公募と選定▽選定事業者と区域整備計画の策定▽21年前半に市会での議決を経て申請-という実施方針公表後のスケジュールは現時点で変更はないとした。

 市は同日、IRに対する市の考えを示した「横浜IRの方向性」の素案への市民意見募集(パブリックコメント)に5千通以上が寄せられたことを明らかにした。集計後、結果を公表する予定。

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