人間国宝・井上萬二さん、免許返納 91歳「事故起こさないうちに」

©株式会社佐賀新聞社

有田幹部派出所の岡本新所長(左)から運転経歴証明書を受け取る井上萬二さん=有田町の同派出所

 白磁の重要無形文化財保持者(人間国宝)で有田町の陶芸家、井上萬二さん(91)が、運転免許証を自主返納した。これに伴い15日、身分証にもなる運転経歴証明書を同町の伊万里署有田幹部派出所で受け取った。井上さんは「事故を起こさないうちにと返納した。免許を持つ高齢者への警鐘になれば」と願った。

 井上さんは1961年に自動二輪、1969年に普通免許を取得。車が好きで、最初の車検を待たずに乗り換えるほどだった。これまで事故を起こしたことはなかったが、家族や井上萬二窯のスタッフから運転をやめてほしいと言われ、3年前の免許更新後は運転していないという。今回、更新の時期を迎えたのを機に、3月31日に返納した。

 毎日午前8時から午後5時まで作陶に励む人間国宝は「若い者に負けない感覚と運動能力はあると思っている。車にもいまだに愛着はあるが、愛着を感じているうちにやめた方がいいと思った」と免許返納の経緯を話した。「このぐらいよかろうと思うことが事故につながる」と、佐賀県警の「やめよう! 佐賀のよかろうもん運転」のキャッチフレーズに触れ、返納を考えている高齢ドライバーにメッセージを送った。

 全国の2019年の運転免許証の自主返納件数は、高齢者が原因となった重大事故が各地で発生したことなどを受け、60万1022件で過去最多を更新。佐賀県内も3820件で過去最高となった。

運転経歴証明書を受け取った後、家族の迎えの車に乗り込む井上萬二さん=有田町の同派出所