熊本地震から4年

 あの日から数日たった頃、会社に近い商業施設の入り口あたりで、10人ほどの若い人たちが募金活動をしていた。聞けば、県内から熊本の大学に進んだ学生で、みんな熊本地震に遭ったという▲一時避難で長崎に戻ったが、何かをせずにはいられない。募金を熊本に届けたくて、と話していた。4月14日の「前震」、16日の「本震」から4年たつ。皆、もう卒業しただろう。被災地の「今」をどこかから見ているに違いない▲募金箱を持つ姿に限らず、今時分、いくつか思い出すことがある。前震の夜、熊本市内の旧友から緊迫したメールが来た。「大揺れだよ」「余震、早く止まってくれ」。文字を打つ指は震えていただろう▲身辺は無事だったが、その友人もまた、何かをせずにはいられず、後に何度も復旧ボランティア活動に加わった。“現地リポート”のメールもよく届いた▲いま、熊本県では「災害公営住宅」が全て出来上がり、仮設住宅などを出るめどがようやく立った。14日の追悼式で、ご遺族代表が「普段の何げない暮らしに感謝し、今を精いっぱい生きる」と誓った言葉が胸に広がる▲復旧、復元が待たれる場所があり、心を寄り添わせてきた人がいる。待っても戻らない人がいて、今なお悲しむ人もいる。被災地のあの日と、今と、これからに目を凝らす。(徹)

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