安心して働ける環境づくりを 長崎労働局の局長に就任した瀧ケ平仁さん

瀧ケ平仁さん

 〈新型コロナウイルスの感染拡大で雇用情勢の悪化が懸念される。2008年のリーマン・ショック以来の雇用危機に警戒感が強まる中、1日付で長崎労働局の局長に就任。新型コロナや本県が直面する課題への対応などについて聞いた〉
 -労働局として県内企業をどう支援していくのか。
 新型コロナウイルス感染症に関する特別相談窓口を設置し、相談に応じている。最近は観光産業を中心に、1日100件程度と多い相談が寄せられている。業績悪化で企業が従業員を休業させた場合に支給する「雇用調整助成金」の申請があれば、速やかに支給していく。
 -今後、人材派遣契約を打ち切る「派遣切り」や解雇、雇い止めも増える可能性がある。
 現状で把握はしていないが、今後売り上げが低迷し労働者を休ませるなどの話は出てくると思う。事業主にお願いしたいのは雇用の維持。雇用調整助成金を含め、いろいろな助成金があるのでまずは労働局に相談してほしい。
 -本県は若者の県外流出が大きな課題となっている。
 県とともに、20年度に高校生の県内就職率を65%、大学生の県内就職率を55%に引き上げることを目標にしている。厚生労働省の調査で、学生は前々から知っていた企業に就職したケースが多いことが分かった。就職活動を始めている人に地元企業を売り込んでも印象に残りにくいということ。県内就職率を上げるためには、早い段階から地元企業を長期的にPRしていく必要があると実感している。労働局などが毎年開いている学生と県内企業の交流会を継続し、県内で就職する学生を増やしていきたい。
 -コロナ禍で、来春卒業予定者向けの企業説明会の中止が相次ぎ、就職活動にも影響が出ている。
 県がウェブを使った説明会をやっているように、労働局も状況を見ながら何らかの方法を考えていく。
 -抱負を。
 県内の働く人が安心して働ける職場環境づくりを、事業主の方々や関係機関と連携しながら取り組んでいく。4月から残業時間上限規制の対象が大企業から中小企業に広がるなど「働き方改革」が進んでいるが、長時間労働がなく休みを取りやすい企業には若者の目が向きやすい。県や各市町と連携しながら職場環境のいい企業のPRをしていきたい。

 【略歴】たきがひら・ひとし 北海道出身。山形大工学部卒。1985年、労働省(当時)入省。前職は厚生労働省労働基準局賃金課主任中央賃金指導官。九州での勤務は初めてで、新型コロナウイルスの終息後は県内の離島に出向くのを楽しみにしている。

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