異才の文藝賞作家・山下紘加が放つ、異性装者のアイデンティティと愛を巡る物語『クロス』。

2015年、 少年の人形への愛と衝動を描いた『ドール』で文藝賞を受賞し鮮烈なデビューを果たした山下紘加さん。 4月17日、 単行本二冊目となる『クロス』を刊行する。

本作の主人公は、 ふとしたきっかけで女性の格好をすることにのめりこんだ28歳の「私」。 ストッキングを履いたり、 自らの手でメイクを施したりと女性性に寄り添うような生活をして、 「私」は新鮮な喜びと自由を感じる。 あるとき女の姿で訪れたバーで、 タケオと名乗る男に出会い、 強烈に惹かれて――。 異性装者(クロスドレッサー)の、 揺らぐ心身の性を大胆かつ繊細に映し出した会心作。

刊行を前に、 作家の中村文則さんと、 女優の秋元才加さんに本作をお読みいただき、 素敵な推薦のお言葉が到着。

――中村文則

解放と迷宮。

性の揺らぎだけではない、

これは「存在」の物語。

――秋元才加

あなたといる私も、 他の人といる私も私。

どの私も、 私の真実。

マナは不自由でとっても自由だ。

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