長崎市で感染初確認 2施設を消毒作業 市民ら驚きと戸惑い

張り紙が出された「みらい長崎ココウォーク」。スーパーなどを除き営業エリアはシャッターが下ろされた=長崎市

 長崎市で初めて新型コロナウイルス感染が確認された男性は、市内のホテルに滞在しながら大型商業施設の改装作業に従事していた。ホテルは16日から当面休館し、大型商業施設は同日、バスセンターやドラッグストア、スーパーなど必要最小限に縮小して営業。不特定多数が利用する施設に思わぬ形で影響が及び、従業員や利用客らからは驚きや不安などさまざまな声が上がった。
 男性が作業で出入りしていた「みらい長崎ココウォーク」。出入り口には「消毒作業を実施しますので、本日は休業させていただきます」と記した紙が張り出され、商業エリアにつながる通路にはシャッターが下ろされた。規制区域を訪れようとした利用客が、警備員らに説明を求める姿も見られた。
 同施設内のスーパーで日用品を購入した梁川町の自営業、永田和子さん(71)は「よく利用するビルなので、どきっとした」。近くの予備校から昼食を取るために来た諫早市の男子予備校生(18)は「休業は今知った。長崎も東京のようになってしまうのかな」と不安げな表情を浮かべた。施設内のテナントで働く女性従業員は、予約が入っていた顧客への連絡に追われたといい「長引いてほしくない」と話した。
 運営会社のみらい長崎によると、感染した男性は2階のリニューアル区画の改装工事に従事。他のテナントと仕切られ、閉店後に作業していたため、他の従業員と接することはなかった。16日は感染した男性が通った経路などを消毒し、18日からの営業再開を決定。入店する105店舗に連絡した。万全を期し、17日に再度消毒、清掃する。
 一方、男性が宿泊していた「ホテルウイング・ポート長崎」は、16日から約20人の従業員を自宅待機とし、グループホテルの従業員らが宿泊客への説明や、宿泊客を別のホテルに案内するなどの対応に当たった。当面休館し、客室など全館の消毒を予定している。
 今回は、両施設とも市の発表に先駆けて公表に踏み切った。みらい長崎の森田誠社長は、取材に「お客さまの安全安心のため、確認が取れた正しい情報は公表していきたい」。ホテルを運営する九州教具の岡村雅彦・新型コロナウイルス対策室長は「市民の皆さんに情報は伝えていく。(営業再開後は)万全の態勢でお迎えしたい」と述べた。
 一方、同業他社は危機感を募らせる。長崎市内のホテルの担当者は「いつ自社で感染者が出てもおかしくなく、人ごとではない」。館内を消毒をする頻度を高めるという。

 


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