割れる「休業」対応 アミュプラザ長崎は18日から

18日から臨時休業になるアミュプラザ長崎=長崎市尾上町

 政府の緊急事態宣言対象拡大を受けた長崎県から事業者への要請に「休業」の文字は無かった。だが、県内では自主休業に踏み切る大型商業施設もあり、事業者の対応は割れている。一方で、県はテレワークや時差出勤を進めるよう「お願い」したが、どれほど浸透し「3密」を防げるかは未知数だ。
 アミュプラザ長崎(長崎市)は「お客さまと従業員の安全と健康を守る」として18日から当面休業する。同日はレストラン街の一部が営業し、食材が無くなり次第終了。生活を維持する上で必要なスーパーやドラッグストアは続ける。17日に来店した女性客(46)は「服は実際に見て買いたい」と残念そうだった。
 改修作業員が感染し、館内消毒のため2日間休業したみらい長崎ココウォーク(同市)は18日に再開する。ゆめタウン夢彩都(同市)や佐世保玉屋(佐世保市)も継続。浜屋百貨店(長崎市)は17日から週末の閉店時刻を30分早めたものの「休業要請がなかった」として営業を続ける。させぼ五番街(佐世保市)は18日から休業するテナントもある。
 ハウステンボス(同市)は休業期間を5月6日まで延長した。道の駅「彼杵の荘」(東彼東彼杵町)は18日から5月6日まで休業。岡崎省三社長は「県外ナンバーの車が多く、従業員が不安がっていた。損失は何千万円単位。だが命には代えられない」と話した。
 休業要請が見送られ、接客の距離が近い事業者は複雑な表情を見せた。長崎市のマッサージ店主は「ほっとした」。休業すれば光熱水費などの支払いが滞り、廃業を迫られかねない。こうした声の半面、同市のフィットネスクラブ代表は「いっそ要請してくれた方が決断できた」と戸惑う。高齢者が免疫力を高めようと通い続けており、人の間隔を2メートル取り、窓を全開にして(密閉、密集、密接の)3密を避ける。「休業すると彼らの行き場を奪う。でも命を考えると閉めた方がいいかな」
 テレワークは普及するのか。九州電力長崎支社は20日から本格導入する。対象は約700人。ただ、どれだけ導入率を高められるかは分からないという。
 長崎市の商社、東洋産業は今月、導入した。携帯電話をスマートフォンに切り替えるところから始めた従業員もいたが、事業承継で楽天から転職した松井祐太朗さん(32)は「休業しても補償は期待できない。感染が拡大しても事業を継続できるように」と推進。県の要請に「もっと多くの経営者に危機感を持たせるべきだ。従業員やその家族を守るためにも」と訴えた。

 


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