町あかりの「テレビの仕事人に会いたい!」 <第11回 馬場龍之介さん(技術局運用統括センター)>

町あかりの「テレビの仕事人に会いたい!」

<第11回 馬場龍之介さん(技術局運用統括センター)>

シンガー・ソングライターの町あかりが、テレビの裏側を支える「テレビの仕事人」から、あんな話やこんな話を聞いちゃう連載企画! 前回お会いした、テレビ朝日社会部記者・前田万里奈さんからのご紹介で、テレビ朝日技術局運用統括センターの馬場龍之介さんからお話を伺いました。

<まるで修行? 集中力が求められる業務>

── 部署名を聞いても、私には検討がつかず…。馬場さんのお仕事の内容を、私のような者にも分かるようにご説明願います!

「そうですよね、なかなか知られていない仕事だと思います。私は技術局運用統括センターのメディア送出技術グループという部署にいます。業務としては、マスターという場所で、『放送運行』と呼ばれる業務を行なっています。テレビ番組が決められた通りきちんと放送されるように、番組やCMの内容、放送データ、実際の放送を24時間確認して、不具合があれば対応します。生放送のテロップのミスや、映像が止まった時にそのことを然るべき部署に報告する作業もありますね。ニュース番組などで表示されている時計をはじめ、地震速報や緊急速報、L字型の災害情報などもわれわれが付け加えています。それらの一つ一つがちゃんと機能しているかどうか、常にたくさんのモニターを使って監視しています。うちの部署から映像を東京スカイツリーへ送り、それが各家庭へ流れます。そのことから『テレビ局の最終段』と呼ばれています。24時間にわたって行うので、日勤と夜勤で分かれていて、みんなで交代しながら業務を行います。一度に4~5時間続けて監視することもありますよ。とにかく長時間の集中力と忍耐力を要する仕事です。座禅や、修行に近いかもしれませんね。チョコレートやグミなど、甘いものは必須です(笑)」

<テレビ朝日の「世界水泳」がきっかけ>

── 家のテレビで流れている映像は、この部署で働く方々の手によって届けられているということなのですね! 馬場さんがこの職業に就かれたきっかけを教えてください。

「祖父が長崎のテレビ局で働いていたため、この業界に興味を持ちました。学生時代から音楽と水泳が好きで、それらに携わりたいと思ったのも理由の一つです。テレビ朝日は『世界水泳』を放送しているので、技術的なアプローチで『世界水泳』を盛り上げたいと思い入社しました。この部署に配属されるまで、私もこの業務について知りませんでしたので、一から勉強しました。テレビ局では『後輩はチャレンジ精神でなんでもやってみろ!』という部署ももちろんありますが、うちの部署は曖昧なまま進行することは許されません。一つのミスも許されないので、とにかく何度もチェックを重ねるんです。これだけ何度も確認をするのは、今までの自分になかったことなのでとても勉強になっています」

── 集中してじっと監視している時間が多いと思いますが、慌ただしくなる時もあるのでしょうか?

「ありますね。災害の時が一番大変です。『番組の途中ですが、ここで…』というような緊急のニュースに切り替える作業も、うちの部署がやっています。切り替える瞬間はとても緊張します…。野球の試合番組で延長することがありますよね。その際もオペレートしています」

<自分の仕事に自信と誇りを持つ>

── 最後に、馬場さんがお仕事をする上で大切にされていることは何ですか?

「私はチームリーダーを務めているのですが、チーム内でコミュニケーションをとるように心がけています。1チーム10人ほどで、地上波、BS(2K)、BS(4K)の計三つの放送のすべてのモニターを監視しています。チームワークがとても重要な仕事です。それから、何かを企画して達成することで評価を得る部署とは異なり、『事故が起きないようにすることが当たり前』なんです。だから達成感を得るのが難しいんですね。以前、スタジオでのリハーサルをモニターで監視していた時に、うちの部署で把握していないことを進行していると気付きました。確認したところスタジオの方で勘違いが起きていたことが分かり、放送事故を防ぐことができたんです。『ただ見ているだけ』と思われがちですが、まったくそうではなく、常にたくさんのモニターを見て確認して、先のことまで考えながら業務を行なっています。そういった出来事を重ねる中で、自分で自分の仕事に自信と誇りを持つことを意識しています」

── 馬場さんのお話から、「ミスをしないことは当たり前」「事故を未然に防がなければならない」という緊張の中で長時間集中し続ける、このお仕事の大変さがよく分かりました(ちなみにとても重要な部署であるため、作業を行っている場所は社内マップにも載っておらず、企業秘密なのだそうです)。このたびはそんな貴重なお話をありがとうございました!

さて、読者の皆様から「テレビ番組のこんなことが知りたい」「こういう職業の人の話を聞いてみたい」というリクエストや、ご感想も大募集しています。次回もどうぞお楽しみに。

【ご意見・ご感想etc.を募集中!】


町あかりの「テレビの仕事人に会いたい!」に関するご意見・ご感想、ご要望は下記アドレスまで。抽選で、町あかりさんのアルバムを7名様にプレゼントいたします。
machi-honoji@tokyonews.co.jp

町あかり


シンガー・ソングライター。作詞・作曲、編曲、イラスト、衣装制作まで自身で行う。2017年ビクターエンタテインメントからメジャー3rdアルバム「EXPO町あかり」をリリース。現在、絵本&CD「あかりおねえさんのニコニコ♡へんなうた」が発売中。他の歌手への楽曲提供も行う。文鳥を溺愛中。

★オフィシャルブログ:http://akrmc.blog135.fc2.com/
★オフィシャルTwitter:https://twitter.com/mcakr

© 株式会社東京ニュース通信社