“ヤスアキジャンプ”も自粛やむなし… DeNA山崎の胸の内「1日でも早く」

DeNA・山崎康晃【写真:津高良和】

高い感染リスクが指摘されているファン一体型の応援

「ヤスアキジャンプに関しては自粛という形になると思いますが、僕もパワーをもらっているので、なんとか1日でも早くやれる状況になることを願っています」。17日に“オンライン会見”に臨んだDeNAの守護神・山崎康晃投手は、こう言って目を伏せた。

「ヤスアキジャンプ」とは、DeNAのホームゲームで、ファンが山崎の登場曲であるゾンビ・ネイションの「kernkraft400」に合わせ、飛び跳ねながら「ヤ・ス・ア・キ!」と声を合わせる応援スタイルだ。昨年11月17日、侍ジャパンが世界一の座に就いた国際大会『プレミア12』の決勝・韓国戦(東京ドーム)では、9回に山崎が抑えとしてマウンドに上がると、登場曲こそ流れなかったものの、スタンドを埋めたファンがメロディーを口ずさみながらジャンプしたほど定着している。ちなみに「kernkraft400」は、米国でもあらゆるスポーツの試合開始直前の盛り上げに使用されている定番だ。

 2012年にDeNAが球団を買収して以来、観客動員は右肩上がり。特に山崎が入団した15年あたりからは拍車がかかり、昨季も球団史上最多の228万3524人を記録した。

 観客を巻き込んでのパフォーマンスといえば、本塁打を放った際にファンと声をそろえて「熱男~!」と叫ぶソフトバンク・松田宣浩内野手、同様に「どすこい!」と声を張り上げる西武・山川穂高内野手が人気を博している。こういったパフォーマンスは観客の一体感を醸成するのに有効で、プロ野球全体の好調な観客動員に貢献しているといえそうだ。

新型コロナ対策チームが「肩組み、飛び跳ねなど集団での動きの伴う応援」は感染リスクが高いと指摘

 ところが今年3月12日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、NPB(日本野球機構)などに対して専門家チームが行った提言では、「肩組み、飛び跳ねなど集団での動きの伴う応援」や「大声での声援、応援」は感染リスクが高いと指摘された。ヤスアキジャンプなどは“危険行為”と指定されてしまったようなものだ。

 NPBの斉藤惇コミッショナーは17日の会見で、セ・パ交流戦の中止を発表する一方、無観客での開幕の可能性について「みんなで話し合っている段階ではないが、状況が状況だから、私としては否定できない」と語った。各球団は入場者数を絞り、観客と観客の間隔を空けて座らせることも想定して、シミュレーションを始めている現実もある。

 今季、たとえ観客を入れることができるようになったとしても、ヤスアキジャンプのようにファンが一体となるパフォーマンスはハードルが高く、道のりは遠いと言わざるをえない。こうした状況が続けば、プロ野球人気自体に深刻な影を落とすことにもなりかねない。

「ファンの皆様の思いは、僕ら選手も痛いほど感じている。なんとか開幕できて、横浜のファンやプロ野球ファンの皆様が球場に来て楽しく観戦できるように、僕らはパフォーマンスを維持しながら頑張るので、僕も一生懸命トレーニングするので、みんなで乗り越えて、これからの明るい野球界のために応援してほしい」と吐露した山崎の思いが届いてほしい。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2