自宅修理、長期化に対応 仮設入居条件の対象を拡大 総務省行政評価局が内閣府に勧告

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2017年12月の村上イツコさん方。一部損壊した自宅を少しずつ修理し、玄関にはすきま風を防止する段ボールを置いたり、ビニールのカーテンを付けたりしていた=益城町

 総務省行政評価局は3月、自宅の修理に時間がかかる被災者が仮設住宅に入居できる条件を緩和するよう内閣府に勧告した。内閣府は「制度の在り方を検討する」という。修理できないまま自宅に住み続ける「在宅被災者」が課題になった熊本地震がきっかけだ。同局は「取り残されやすい被災者には個々の事情に応じた支援の充実が必要」と指摘する。

 国が修理費を一部負担する応急修理制度を利用する被災者は、仮設住宅の供給対象外だったが、勧告は対象にすべきとした。熊本地震や2018年の西日本豪雨で業者や資材が不足し、修理が長期化する事例が多発したことを背景に挙げた。

 応急修理制度が想定している修理期間は原則として1カ月以内。これに対し、熊本地震から1年たった17年3月時点での制度利用申請は熊本市で1万8639件に上り、半数以上の工事が終わっていなかった。

 仮設住宅に入居できるのは原則として全壊世帯で、熊本地震では半壊以上に緩和。熊本県によると、熊本地震で住宅の被害を受けた19万8195戸(3月末時点)のうち、仮設に入れない一部損壊は約8割を占めた。これに加え、半壊以上でも応急修理制度を利用したため仮設に入居できなかった世帯が3万3083世帯あった。

 仮設住宅の入居者らを支援する益城町地域支え合いセンターが把握した町内の在宅被災者は、17年度のピーク時で約4千世帯。このうち約30世帯は今も自宅の修理が終わっていない。

 自宅が一部損壊した益城町の村上イツコさん(63)は、壁のひびや玄関にできた隙間などの修復を今も続けている。「壊れた家に住み続けるストレスは大きい。仮設入居ができていれば住民同士で交流し、ストレスも少なかったと思う」と振り返る。

 在宅被災者の支援に取り組む一般社団法人「よか隊ネット熊本」の土黒[ひじくろ]功司事務局長(41)は「避難所や仮設にいる人だけが被災者という従来の定義を大きく見直し、制度の隙間に取り残される被災者がいないよう行政や地域、支援団体が連携すべきだ」と訴えている。(堀江利雅)