【メガバス・スーパーZ】コンパクトクランク初のLBOⅡを搭載!? “伝説”ってどういうこと??【NEWアイテムインプレ】

2020年も豊富な展開が予想されるメガバス新製品群。なかでも特に注目を集めつつ、すでに発売となっているのがクランクベイトの「スーパーZ」です。ここでは、メガバスフリークが盛り上がる理由、すべてのバスアングラーにとって革命的ルアーである理由を紹介・インプレッションします!

忙しい人のための「スーパーZ」解説

スーパーZ(メガバス)

左:Z2 ●全長:53ミリ ●自重:1/4オンス ●タイプ:フローティング ●カラー:全18色 ●価格**:1,890円 右:Z1 ●全長:53ミリ ●自重:1/4オンス ●タイプ:フローティング ●カラー:全18色 ●価格**:1,890円

メガバスが誇る先進的重心移動システムL.B.O.Ⅱ(Linear Bearing Oscillator System)を搭載したコンパクトクランクベイトがこの「スーパーZ(ジー)」。

53ミリ1/4オンスというコンパクトサイズながら、抜群の飛距離、泳ぎだしの良さ、ハイピッチアクションを実現しています。

ラインナップは、最大2.3メートル潜るZ1と最大2.9メートル潜るZ2の2タイプ。

どちらもボトムなどにコンタクトした際に暴れ過ぎずることなくまっすぐ引ききることが可能。
リップラップや消波ブロック帯を舐めるように探ることができるわけです。

ちなみにこの”Z”という称号(?)は、設立30年以上となるメガバスが最初に販売したクランクベイト「Zクランク」からきています。

店頭ではこのパッケージが目印です!!

ここから先はちょっとディープな話で長くなりますので注意ですが、お時間がある方はぜひご覧ください!

このルアーの注目ポイント

1:LBOⅡを搭載した初のコンパクトクランクである

ボールベアリングを内蔵し、シャフト上を移動するウェイトを採用した重心移動システムがLBO。
そしてそこから派生し、ルアーデザインの可能性までに影響を及ぼしたのがLBOⅡです。

専用の空間内にあるウェイトをボールベアリングによって高速移動させられるシステムがLBOⅡです。

この技術に関する詳細は別記事にもありますので、そちらもご覧ください!

そのLBOⅡがスーパーZの両モデル(Z1、Z2)に採用されています。

カラーによってLBOⅡの見えやすさには違いがあります(笑)

このLBOⅡという機構はすでに登場から1年以上経過していますが、コンパクトサイズのクランクベイトに搭載されたのは今回が初。

これまでのクランクベイトでLBOⅡが搭載されているのは、フラップスラップLBO(77ミリ7/16オンス)とディープX100(59ミリ3/8オンス)&200(70ミリ1/2オンス)、オーバーレブクランク(70ミリ5/8オンス)だけ。どれも重さがそれなりにあるミドルサイズクランクたちでした。

ところがスーパーZは53ミリ1/4オンス(約7グラム)。フック込みでも8グラムしかありません。

スペックだけ見るとLBOⅡを搭載したシャッドのIXIシャッド(57ミリ1/4オンス)並みかそれより小さいくらいです。

それではそんなコンパクトサイズクランクベイトがLBOⅡを搭載するとどう凄いのか?

・飛ぶ
スーパーZはウェイトがLBOⅡだけなので、内蔵するすべての重量が後方に移動することになります。すると飛行中の姿勢も安定し、コンパクトクランクとは思えないようなロングキャスト性能を発揮してくれるわけです。
また、逆風をものともしない遠投性能は、近距離戦においては正確なキャスト精度にもつながります。

・泳ぎだしが良い
わずか3度傾くだけでウェイトがアクション時の位置に移動するLBOⅡ。
実質的にはリップが水を噛んだ瞬間には戻っていると言ってしまってもよいでしょう。
助走距離を最小限にして狙った深度まで到達させられたり(狙いの水深を長く通せる)、泳ぎだしからキチンとアクションするため、カバークランキングで使いやすかったりするわけです。

・ハイピッチアクション
ボディの前方下部に片まってウェイトがある。つまり重心が分散しておらず、しかも従来の重心移動システムのように球場のウェイトを転がすためのレールも無いため浮力が十分に確保されおり、ハイピッチアクションを実現しています

以上のように、大きく分けて3つのメリットがあるわけです。

手のひらに乗せるとその小ささが伝わると思います。コイツがよく飛んでよく泳ぐって、なんだかすごくないですか?

2:ボトムから離れにくいコンタクト性能

ストレートリトリーブが基本のクランクベイトですが、その使い方は大きく分けてふたつだとされています。
つまり……

・中層を通す
・ボトム(ストラクチャー)にコンタクトさせる

です。

もちろんどんなクランクベイトであってもそれぞれの使い方ができるわけですが、得意とする使い方があり、時にそれが設計段階から想定されている場合もあります。

メガバスのルアーで言えば、中層が得意なのはナックルLDやソニックサイドなど。

左がナックルLD、右がソニックサイド。

ボトムにコンタクトさせる使い方が得意なのものとしては、グリフォンシリーズなどがあります。

左からDDグリフォン6cc、MR-Xグリフォン、グリフォンボーンノッカー。

そしてこのスーパーZは、後者に属するボトム(ストラクチャー)にコンタクトさせるが特に得意なクランクベイトなんです。

LBOⅡによるメリットでボトムを取りやすい(飛ぶ、泳ぎだしが良い)スーパーZですが、ボトムなどにコンタクトした際、ある能力が発揮されます。

それが通称「ブルドッグコンタクト」。

リーリング中、ボトムに触れた際にスーパーZはその反動で跳ね返ることなく、ボトムに噛みついて離れないかのようにリーリングし続けることが可能なんです。

このことにより、

・リップラップや消波ブロック帯の起伏を綿密にトレースすることが可能
・絶えず泳ぐ=絶えず誘える
・コンタクト時の感触から得られる底質の情報なども得られやすい
・任意のコースから外れにくく、リップが機能し続けるため、想定外の根掛りも少ない

と言ったメリットがあるんです。

これはボトムコンタクト時に姿勢が崩れることがあっても、持ち前の泳ぎだしの良さですぐさま元のスイム姿勢に戻れるということ、アクションの質、リップ形状などが鍵となっています。

なお、グリフォンシリーズはコチラとは真逆のコンセプトであり、跳ねまわるように動くことで障害物の回避やコンパクトでありながらハイアピールを実現させているルアーなんです!

3:潜行深度別のラインナップ

リップの長い方がZ2、短い方がZ1です。

最大潜行深度は、

Z1:最大2.3メートル
Z2:最大2.9メートル

となっています。

ボトムコンタクト前提で考えれば当然、潜行深度は深い方が融通が利きます。

ですが、ディープクランクをシャローで投げてみるとわかるのですが、潜りすぎるクランクベイトではボトムをきれいに叩けず、泳ぎが破綻したり、潜行角度がきつすぎてボトムに刺さったりしてしまいます。

そのため、使用するシチュエーションに応じた使い分けも大切になってくるんです。

この感じだと、もっと潜るZ3モデルもそのうち出そうですね!

4:見た目

メガバスと言えばの造形の美しさですが、スーパーZも言わずもがなです。

比較的オーソドックスなクランクベイト形状ではありますが、一目でわかるメガバス感があります。

中でも注目してもらいたいのがオデコとテール部分。

オデコ。

一般的なクランクベイトとは異なる、凹んだようなデザインとなっています。

これはリップのみならず、ボディでも水を噛みやすくし、姿勢制御に役立っているのではないかと思われます。

もちろん機能的な部分のみならず、ともすればただの球体的な印象になりがちなクランクベイトに、一気に生命感が宿っているようにも見えるデザインですよね!

テール。

LBOⅡが入るためのデザイン上、テール下部がどうしても出っ張ってしまうスーパーZ。

カラーによって異なりますが、主にリアル系カラーではテール下部の中身が見える状態なんです。

奥が和銀オイカワ、手前がドチャート。

ボディ全体のカラーとは異なるテイストにすることで、LBOⅡの搭載をアピールしつつ、自然なデザインに見えるようになっているんです!

これぞ見せる収納ならぬ見せる機能美です!

そしてカラーラインナップは豊富な全18色。

現在手元にはそのうちの4色があります。

左からキラーピンク、和銀オイカワ、ドチャート、カスミITO。

それぞれ軽く説明しましょう。

ドチャート

メガバスが誇るドチャートは艶消しのチャートイエローに目元のチャートリュースがアクセントのアトラクター系カラー。キラーピンクはそのピンク版といったイメージで、どちらもマッディウォーターでは定番のカラーです!

蛍光色はローライトでも目立つため、マズメ時や雨降りなど、光量の少ないシチュエーションではクリアウォーターでも活躍してくれるんですよね!

和銀オイカワ

和銀オイカワはその名の通り雄のオイカワを模したカラー。ハンドメイドルアーではポピュラーなアルミ張り系カラー、それもギラギラとしたフラッシングというよりはボワッとしたフラッシングが得意な渋めのものになっています。

カスミITO

最後はメガバスの社長である伊東由樹氏の名前が用いられたカスミITO。ロングセラーカラーも多いメガバスですが、このカラーはここ最近の定番職です。モチーフはカスミ水系で見られるワカサギで、ブルー~パープルのバンドがくっきりと入っているのが特徴です。

その他のカラーも魅力的なものが多いので要チェックです!

個人的にはGGギルやギルッコと言ったブルーギル系カラー、リップもペイントされているクロー系カラーのマットクローⅡ、超定番のマットタイガーなんかが気になります!

歴史あるメガバスだからこそ際立つスーパーZ

ここからはなぜスーパーZが話題となったのかを紹介していきます。

30年以上前。

もう年号でいえば2つも前。昭和の時代にメガバスは誕生しました。

そして1987年にメガバスの記念すべきハードルアー第1号として発売されたルアーがZクランクです。

Zクランク

Zと書いてズィーと読み、それがなまってジークランク。
このルアーは30年以上前に登場したモデルで素材はウッド。
それでいて、中層でもボトムコンタクト時のイレギュラーアクションを出させることを目的とした、縦方向の重心移動システムを搭載していたというから驚きです。

このZクランクが人気となり、その製造に限界を感じた伊東社長がインジェクション化に踏み切り、いわば後継モデルとして1990年に登場したルアーがベイテックスです。

ベイテックス(出展:メガバスエンサイクロペディア)

とはいえ、同スペックのルアーとして制作したわけではなく、若干の方向転換。
Zクランクが中層の釣りを想定していたのに対し、ボディ素材の変更と併せて浮力を抑え、より濃密にカバーにコンタクトささせ続けられるようにしたのです。

ちなみに、当初はメガロイドという名のブランドでリリースしていたのは知る人ぞ知る話。

そしてこのベイテックス、英語で書くとBAIT-Xですが、この後継モデルとなったのが2002年に登場したベイトエックスです。

ベイトX

先代の意思を継ぐルアーとして当初はBAIT-Xコンセプトとも呼ばれたベイトエックスは、ボトムへの喰いつきが追及されれています。

また、リップには表面から裏面にかけてウォーターインテークが空いています。これによりリップ表面で受けた水流は加圧されてボディ下部に流れ、激しいアクションを生み出すのに一役買っているのです。

内蔵する大型のタングステンウェイトがボディいっぱいいっぱいに移動することで、キャスタビリティと素早くもぐるための潜行姿勢を両立させています。

ボトムコンタクト系のメガバスルアーはほかにもありますが、Zクランクからの直径という意味ではこのベイトXまでが一連の流れといえそうです。

一方、Zクランクの名前をそのまま冠したルアーものちに登場しています。

Zクランク。

形状はオーソドックスですが、リップにはサーキットボードを採用し、素材となる木材が異なる2タイプをリリースするなど、メガバスらしい意欲作でもありました。

そしてその後にインジェクションプラグとしてリリースされたのがZクランクXシリーズです。

ZクランクX ジュニア。

Zクランクのウッドボディならではのアクションを踏襲し、なおかつABS素材だからこその武器ともいえるラトル音にこだわったモデルでした。サイズ違いや海外モデルなどのラインナップも豊富でした。

こうしてこの30余年、すべてのメガバスルアーの父とも呼べる初代Zクランクから端を発し、派生系モデルが次々に登場してきました。

その過程で得たであろう数多のフィードバッグ、そしてメガバスの先進技術が結実したルアー。

それこそがこのスーパーZ。

言わばメガバスの歩み、その全てが詰まったルアーなんです。

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