トヨタ新型ハリアーが登場、洗練されたデザインと“技術全部入り”で大ヒットの予感

今ではすっかり市民権を得たジャンルである「クロスオーバーSUV」、この先駆者的モデルであるトヨタ・ハリアーが6月に発売されることが公式発表されました。写真を見た限りでも歴代のモデルはもちろん、ライバル車よりもスタイリッシュで美しい。発売前に今わかっている情報をお届けします。


実はレクサスブランドだった

新型ハリアーは今回4代目となりますが、初代と2代目は北米では「レクサスRX」として販売されていたことは意外と知られていません。

ハリアーは元々高級サルーンが持つ快適性と乗用セダンより高く設定されていた最低地上高によりオールラウンドに使える機動性を兼ね備えたクロスオーバーSUVとして開発されました。このコンセプトは国内はもちろん、北米でも受け容れられ大ヒット。欧州メーカーも含め、同様のコンセプトのモデルを市場に投入するほど影響力があったのです。

3代目からは日本専用モデルに

前述したようにハリアーは北米ではレクサスブランドでしたので、2009年にレクサスRXが日本でも発売されたのを機にハリアーとレクサスRXは別のモデルとして区別されることになりました。その後、2013年に3代目ハリアーは、国内専用モデルとしてフルモデルチェンジを行い販売されます。

待望の4代目は何が違う

国内では高級SUVとして確固たるポジションを維持しているハリアー。実際、中古車になった際のリセールバリューも高く、中古車の平均価格も高水準をキープしています(特にハイブリッド車)。

この人気に支えられてのフルモデルチェンジですからトヨタとしても気合いが入っています。ひと言で言えば「現在のトヨタの技術の全部入り+α」と表現がしっくりきます。

ホイールベースを延長しつつ、取り回し性能は旧型より向上しています

ハリアーの特徴のひとつであるフロントマスクは継承しつつより精悍さを増しています

全長4,740×全幅1,855×全高1,660mmの外寸は旧型よりややワイドであり逆に高さは抑えられています。特に注目はそのデザインで、これまでSUVの定番とも言えるスタイリングからクーペのようなフォルムに変わっています。リアゲートを寝かせることでこれまでのSUVにあった「リアの重量感」のようなものを取り払い、BMWのX4やメルセデス・ベンツGLCクーペのようなスポーティなイメージも付加しています。

インテリアはより洗練され上質に

新型ハリアーのインテリアのコンセプトは「大らかな逞しさ」。それを実現するために「馬の鞍」をイメージし、幅広いセンターコンソールとそれを包み込むインストルメントパネルを組み合わせたとのこと。

元々ハリアーが市場で受け容れられた理由のひとつに「高い品質と静粛性」があります。今回はさらにその部分を磨き込み、見た目だけでなく触感にまでこだわったマテリアルを数多く採用しています。ちなみに内装色は3色(ブラウン、グレー、ブラック)設定されています。

最新技術が満載

インテリアには上級グレードに12.3インチの大型ディスプレイを採用します。ポイントとしては昨今トヨタが推し進めているSDLと呼ばれるスマホ連携機能の他、これまでオプションであったAppleの「CarPlay」やGoogleの「Android Auto」も標準装備化するという情報もあります。またオーディオに関しても従来から定評のあるJBLプレミアムサウンドシステム(9スピーカー)も設定されます。

マテリアルの変更も含め、インテリア周りひと目で質感が向上したことがわかります

さらに新装備として設定される「電動シェード付きパノラマルーフ」に注目です。開口面積の広いガラスルーフは室内への開放感を提供しますが、一方で夏場などの直射日光が強い場合は室内温度も上がってしまいます。これを防止するためにシェード(日よけ)を使うわけですが、新型ハリアーには電動式シェードの他、トヨタ自動車としては初となる「調光ガラス」が採用されています。

新設定される「電動シェード付パノラマルーフ」、調光ガラスを採用し柔らかな光を取り込みます

考え方は調光レンズを使ったメガネと同じで、直射日光の量に合わせてガラスが着色されます。完全な遮光ではなく、晴天時では外の風景がうっすらと見えるようにすることで、柔らかな外光を室内に取り込むことができます。

走りは大幅な進化に期待

クルマの走りの基本を左右するプラットフォーム(車台)には、走りの良さで定評のあるRAV4と同じ「GA-K」プラットフォームが採用されています。

搭載するパワートレーンも2L直4のガソリン車と2.5L直4のハイブリッド、FFの他にAWD車も設定します。

先進安全装備も現在トヨタが持つ「Toyota Safety Sense」の最新版を搭載予定です。ユニークな試みとしてはデジタルインナーミラーに前後方向の録画機能、つまりドラレコ機能に相当するものを組み合わせている点。そしてハリアーが継承する静粛性の高さも高遮音ガラスの採用なども含めレベルアップしているとのこと。

ライバルとして考えられるのは、前述した欧州勢やハンドリングの良さで評価が高いマツダCX-5辺りになります。

最終的な価格はまだ発表されていませんが、内容から見ても価格アップは否めません。ただこの手のクルマは高級セダンからの乗り換えも視野に入れて開発されていますので、それらと比べれば買い得感は高いと見ることもできます。いずれにせよ、新型ハリアーの登場は少し疲弊気味の日本の自動車マーケットにカンフル剤となることは間違いなさそうです。

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