【インタビュー】嬉野市長 村上大祐氏「最高の癒やし 感じる駅に」

嬉野市長 村上大祐氏

 -九州新幹線長崎ルートの暫定開業への期待は。
 嬉野市に鉄道を初めて迎える。嬉野には約100年前に在来線の鉄道を断った歴史があり、「100年の後悔」と言われている。裏を返せば悲願が実現することになる。ある意味では高揚感がある。交流人口の大幅な増大が見込め、今後の展開が非常に楽しみだ。

 -新幹線開業を見据えたまちづくりは。
 嬉野温泉駅(仮称)は田んぼの中にできる。既に市街地がある駅と違い、一から造り込めて自由度が高い。しっかりしたコンセプトを基に、町のグランドデザインと重ね合わせた統一感のある駅にしたい。
 嬉野温泉は人々を癒やす力をもって町を発展させてきた。最高の癒やしを感じられる駅にしたい。新駅では温泉を掘削し、足湯を含めた温浴施設を計画している。

 -駅と温泉街をどう連携させるのか。
 駅から温泉街までは1.5キロほどある。自動運転技術で市内を巡回する仕組みまで考えたい。自動運転車両については国土交通省と民間事業者とも連携しながら研究を進めている。
 まずは宅配業者などと連携して駅で荷物を預ける「手ぶら観光」の仕組みをつくる。レンタサイクリングや散策を楽しんでもらい、温泉宿にたどり着くまでの舞台装置、旅の高揚感を高める距離にしたい。

 -改めて全線フル規格での整備を求める理由を。
 速達性ではフル規格が最適だ。山陽地方は名の知れた温泉地がなく、フル規格で結ばれればぐっと近くなる。中国、関西方面と直通すれば嬉野温泉は有力な選択肢になるのではないか。
 現在は新型コロナウイルス感染拡大で国土交通省と佐賀県が協議をする環境にないが、終息後には協議が進んでいくと思う。注視していきたい。


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