ベンチが浮いてる!? 壁を生かした坂の街のアイデア

壁を生かしたベンチ

 長崎市の稲佐山中腹のバス停「朝日小学校入口」に、壁と一体となったベンチがある。よく見ると足はない。斜面地の狭い歩道に長椅子を置くためにひねり出されたアイデアだ。 設置した江の浦町第二自治会の酒井好彦会長(77)によると、5年ほど前、バスを待つお年寄りのために、壁の持ち主の許可を得て取り付けた。工事は今川信夫副会長(72)が元建築業の腕を生かし、L字型の留め具を使って必要最小限の椅子に仕上げた。
 斜面地は高齢化が進んでおり、お年寄りからは「ゆっくりバスを待てる」と好評だ。「狭いスペースを便利に使おうと町内で助け合ってます」と酒井会長。坂の街に生きる長崎人は壁まで生かす? たくましさと優しさの象徴かもしれない。

 


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