社説(4/20):米大統領選/世界のリスクへの対処示せ

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 11月の米大統領選は共和党の現職トランプ大統領(73)に、民主党重鎮で中道のバイデン前副大統領(77)が挑む構図が固まった。民主党候補指名を目指した左派サンダース上院議員(78)が選挙戦からの撤退を表明したからだ。

 これまで以上に世界の重要な岐路となる選挙になろう。トランプ氏が掲げる「自国第一」による分断が世界を侵食し、さらに進むのか、国際協調の新たな具体像を示すことができるのか。選挙戦で打ち出されるメッセージは一段と重みを増す。

 新型コロナウイルス感染拡大で世界経済と人々の暮らしは深刻な打撃を受けている。傷の深さは「(1930年代の)大恐慌以来の景気悪化」(国際通貨基金のゲオルギエワ専務理事)とも見込まれる。感染者数と死者が世界最多となった米国は、欧州とともに被害の中心となった。

 大統領選も一変した。米国で認められている戸別訪問や集会は思うようにできない。トランプ氏は好調な経済という「最強の手札」を失い、選挙戦の行方も予断を許さない状況になったといえる。

 バイデン氏は「最も勝てる候補」と、民主党候補の指名獲得を確実にした。だが不安材料は少なくない。最大の問題は足元にある。党の結束である。

 サンダース氏は民主党の指名争いで当初優位に立ち、存在感を示した。政策は国民皆保険制度や大学学費ローン債務帳消し、富裕層への増税など急進的で、若者らの熱狂的な支持を集めた。人気の背景には既存政治への失望があったと指摘されている。

 バイデン氏の強みは40年以上も立法・行政分野にいた経験と実績にある。政策も安定感があると評され、そのことが逆に「古い政治家」と捉えられ、サンダース氏支持層との溝を深めている。オバマ前大統領のような支持のうねりも今のところ見られない。

 共和党支持層の9割を固めるトランプ氏に対抗するには、中道と左派に二分されている民主党の亀裂を埋められるかどうかが焦点となる。

 トランプ氏とバイデン氏の直接対決を想定した世論調査では、全米の平均支持率でバイデン氏が6ポイントリードする。弱みを克服し勝利するには、国民の幅広い支持が鍵となるのはいうまでもない。

 パンデミック(世界的大流行)で世界の景色は変わった。国境が次々に封鎖される一方、他国に医療物資を届け、患者を移送する動きもある。国際協調の名の下で金融・経済対策、ワクチンや治療薬の研究開発も進む。

 「自国第一」だけでは乗り越えられない危機である。今後もある世界規模の経済危機はもちろん、地球環境問題も同じであろう。世界のリーダーを争う論戦で世界を覆うリスクにどう立ち向かい、備えるのかを語る責任が増した選挙戦である。