春季大会中止、限られる自主練習… 高校球児「我慢の春」

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寮の一室で黙々とシャドーピッチングに励む神戸国際大付の岡野翔海投手=神戸市垂水区

 春本番を迎えても、球音が響かない。県内では例年、4月は春季県大会が開かれている時期だが、今年は新型コロナウイルスの影響で中止となった。各校は休校措置に伴う活動休止が続き、屋外での自主練習も限られる。球児たちは不安を抱えながら夏に備えている。(山本哲志、長江優咲)

 「連覇、したかったです」。昨年の春季県大会を制した神戸国際大付の岡野翔海投手(3年)は率直な思いを語る。1年前はベンチから歓喜の輪に加わったが、今はチームメートとも会えない状況に置かれている。

 チームは、2月末の全国一斉休校を受けて活動を自粛。3月下旬に練習を再開したが、4月7日の緊急事態宣言を受けて再び休止となった。学校の寮で生活する50人は全員がいったん実家に戻り、現在は地元の感染状況や家庭の事情などで寮生活を希望した12人が残る。

 青木尚龍監督は「今は感染させないことが一番」と話し、自宅や寮など限られた場所での個人練習が続く。青木監督は「『体力を落とすな』と言っているが、場所がなくて難しいことも分かる」と複雑な表情を浮かべ、寮に残っている岡野投手らは互いの距離を取り、トレーニングを続ける。

 陸上競技など他競技では県高校総体の中止が決まった。甲子園出場を懸ける夏の兵庫大会は例年7月上旬開幕だが、予定通り開催されるかは不透明だ。岡野投手は「不安はあるけど、甲子園を目指してやってきたんで」と集大成の夏を見つめる。

 昨春の県大会で準優勝と躍進した公立校の須磨翔風。中尾修監督のスマートフォンには、70人弱の選手の自主トレーニング内容が日々送られてくる。「前向きに練習してくれている。心情としては試合をやらせてあげたいが、命と健康が最優先なので」と悩ましげに語る。

 選抜大会に出場する予定だった明石商も活動休止中。市外や県外出身者の中には、普段は学校近くで下宿生活を送る選手もいるが、今は実家に戻っている。チームでは70人の部員をグループに振り分けて5人の指導者が毎日、無料通信アプリLINE(ライン)などで連絡を取り、練習内容を報告させているという。

 我慢の春を過ごす選手たちに向け、県高野連は公式サイトでメッセージを掲載している。

 「今できることを精いっぱい、力を合わせて頑張りましょう。(中略)多くの制限があるとは思いますが、どの学校も同じような条件で頑張っていることを思い、(中略)夏には最高のパフォーマンスができるようにしましょう」

 全国に拡大した緊急事態宣言は5月6日まで続き、感染の収束が見えなければ延期も否めない。厳しい状況の中、県高野連の福留和年理事長は「メッセージが少しでも励みになれば」と話す。努力が報われる日が来ることを、誰もが願っている。