長崎停泊客船 1人陽性 外国人乗組員 濃厚接触56人 新型コロナ

外国籍の船会社社員が新型コロナウイルスに感染したクルーズ船「コスタ・アトランチカ」=20日午後10時26分、長崎市香焼町の三菱重工業長崎造船所香焼工場

 長崎県と長崎市、三菱重工業は20日、同市香焼町の三菱重工業長崎造船所香焼工場に停泊しているクルーズ船コスタ・アトランチカ(8万6千トン)の船内で、外国籍の船会社社員1人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。濃厚接触者3人も検査したが陰性だった。

 ほかに濃厚接触の可能性があるのは53人。21日に長崎大学病院で検査を実施する。
 県庁で記者会見した中村法道知事はクラスター(感染者集団)発生への警戒感を示し、医療面での対応について「状況によっては自衛隊の協力をいただく必要があるかもしれない」と述べ、自衛隊への災害派遣要請も視野に入れていることを明らかにした。
 クルーズ船の船会社は、イタリアのコスタ・クロティエーレ社。修繕などのため1月下旬から3月下旬にかけ香焼工場に停泊した。修繕を終えていったん海上に出たが、その後、物資補給などのため長崎に戻り、4月1日から香焼工場に停泊していたという。
 乗組員は、外国籍の船員や船医ら計623人で、船内に居住。検査した4人は個室に隔離。濃厚接触の可能性がある53人とほかの乗組員の滞在場所は分けているという。乗客はいない。県は新型コロナの流行を受け、3月13日に船会社に乗組員の乗下船の自粛を要請し、その後、乗下船はないという。
 感染した社員について、船会社は年代、性別を現時点で明らかにしていない。この社員は今月14日にせきや発熱の症状があり、19日に船会社から長崎市保健所に相談があった。20日に濃厚接触者を含む計4人の検体を採取し、PCR検査を実施した。
 会見には田上富久市長と三菱重工業の子会社三菱造船の椎葉邦男常務も出席した。椎葉氏は「ご迷惑をおかけして申し訳ない。コロナ対策を最重要に掲げてやってきた。県や市と連携して感染予防に努める」と述べた。

停泊中の船内で新型コロナウイルス感染者が確認されたことについて会見する三菱造船の椎葉常務(右端)=20日午後10時21分、県庁

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