オリジナルは、ジョン・ウォーターズ監督が1988年に発表した青春映画。もともとカルトムービーの帝王と呼ばれ、奇抜な演出で当時は＜悪趣味の帝王＞なんて呼ばれていたウォーターズ監督のメジャー進出第一作目。青春映画でありながら、ドラァグクイーンの怪優ディヴァインが母親役を演じていたり（本作はなんとジョン・トラボルタが同役を好演しています！）尖りまくったスピリットはそのままでマイノリティ差別への批判をポップに描いた名作でした。
この映画はブロードウェイで2002年にミュージカル化され、トニー賞8部門を受賞しました。この舞台を映画化した本作は、子供も大人もみんなが純粋に楽しめるエンターテインメントとなっています。ぽっちゃりさんなヒロインはいつも明るくて、どんな人に対しても隔たりのない女の子。まだ黒人差別が色濃く残っている1960年代のボルチモアでダンスと歌を通して差別に立ち向かっていくヒロインに元気をもらえます。
体型や人種、そしてセクシュアルの問題など、いろんな差別がこの世の中にはあるけれど、全員がヒロインのように壁を作らずに生きていけばきっとこの世の中にも、明るい光が見えてくるんだと希望を持てる作品です。この映画を小さい頃に大人といっしょに観て「自分の正義」のことについて話ができたら素敵ですよね。私たちもこんな風に正義を持って立ち向かわなくちゃ！ と、大人も心を綺麗に洗濯してもらえる作品になっています。今年は、渡辺直美さん主演でミュージカルも上演されるようなので、ぜひ本作で予習をしてから、舞台も訪れてみてはいかがでしょうか？ ★★★★★（森田真帆）
監督:アダム・ジャンクマン
出演:ジョン・トラヴォルタ、ミシェル・ファイファー
DVD＆ブルーレイは株式会社KADOKAWAから発売中
