高校記録更新に照準 陸上三段跳び 長崎日大 廣田麟太郎 信じて前へ 高校のエースたち・9

「調子がいいときこそ、調子に乗らずにいたい」と気を引き締めている廣田=諫早市、県立総合運動公園補助競技場

 1年生で全国大会の決勝進出、2年生でメダル。陸上三段跳びの廣田麟太郎(長崎日大高)は、ここまで有言実行を続けてきた。迎えた高校ラストイヤー。目指すのは日本高校記録、諫早農高出身の山本凌雅(JAL)が2013年に樹立した16メートル10の更新だ。
 「順調に来ているけれど、一番大事なのは今年。自分が試される年だと思っている。調子がいいときこそ、調子に乗らずにいたい」
 期待の大きさから、ここ1年でメディアに取り上げられる機会は一気に増えた。それでも、舞い上がらず、周りの目が変わっても自分は変わらず、目標達成のために今やるべきことをやろう。そう心に決めている。
 昨年7月に15メートル32の自己ベストをマーク。3週間後のインターハイで銅メダルを獲得して全国的に注目されるようになった。この大会の予選では、踏み切り板のずいぶん前から跳ぶ「もったいない」ジャンプで15メートル30を記録していた。続く秋の茨城国体は、追い風参考ながら15メートル60を跳んで2位。16メートルの大台がはっきりと視界に入ってきた。
 180センチの身長以上に長い手足を生かし、跳ぶ瞬間に両腕を振り上げるダイナミックな跳躍が目を引く。高い技術、助走の勢いに負けない筋力が不可欠な高難度の跳び方だ。長与二中時代から師事している佐伯直也監督と二人三脚で、じっくりと時間をかけて習得してきた。
 さらに空中動作を安定させるため、この冬はウエートトレーニングで肩周りを重点的に鍛え上げた。助走フォームも動画を見返しながら一つ一つ修正。その積み重ねが2月のU20日本室内選手権で出た。冬季練習の真っ最中ながら、15メートル16の好記録で優勝。「一歩一歩の出力が間違いなく昨年より上がっている」。自らの進化に手応えを感じている。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響は陸上界にも及び、6月までの大会はすべて中止、延期になった。調子がいいだけに、試合で記録が残せない現状は残念だが、意識の高いチームメートたちと日々の練習に全力を注ぐことで、何とかモチベーションを保っている。
 「どこまで跳べるのか、自分でもワクワクしている」。自信はある。今はただ、試合が待ち遠しい。

 


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