オンライン教育大手の「好未来」が売上高水増し 成長の焦り際立つ

ニューヨーク証券取引所に上場している中国オンライン教育大手の「好未来(TOMORROW ADVANCING LIFE)」は公告を出し、新たに打ち出した「軽課」の販売において、一部社員が外部サプライヤーと共謀し、契約文書偽造などの不法行為をしたことが発覚、「軽課」の販売データの水増しを行ったことが分かった。これに対して好未来はすでに警察に通報し、関連社員は拘束されている。公告が出ると、時間外取引で同社の株価は一気に28%下落、時価総額にして647億元が消えてしまった。

「軽課」は好未来傘下のオンライン学習プラットフォームで、6歳から12歳の小学生向けの科目と資質教育に特化している。「軽課」の販売額は好未来2020年度の全体見積決算の3~4%を占めるとみられる。新型肺炎の影響もあり、好未来は先月初め2020年度の第4四半期売上予測を下方修正している。それに加えて今回の偽造案件により、好未来の売上高は過去最低のものになるとみられている。

解説:

ここ数年、中国オンライン教育プラットフォームの好未来は転換期にあった。外部投資の形で多くの特化した分野に参与したほか、同社はオンライン業務への投入を強化しており、AI技術で教育業界の革新を図ろうと狙っていた。リリースされてまもない「軽課」は同社にとっては新たな試みでもあった。データ水増しの公表は、瑞幸珈琲(LUCKIN COFFEE)の不正会計騒ぎを受け自社審査強化の表れでもあり、大手企業の成長への焦りの表れでもある。

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