“前払い”で飲食店応援 「さきめしキャンペーン」展開 西海みずき信組、長崎市職員ら

美食bar椿のクーポンとテークアウト用の薬膳カレー

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入減に苦しむ飲食店に対し、西海みずき信用組合(佐世保市)や長崎市の職員らが「前払い」で支援しようとしている。クーポンの前売りを始める飲食店もあり、感染終息までの資金繰りを支える取り組みだ。
 同組合は「さきめしキャンペーン」を展開中。ベンチャー企業「Gigi(ジジ)」(福岡市)が開発したスマートフォンアプリ「ごちめし」を活用。利用客はアプリに登録された店の中から、行きたい店の食事券(半年間有効)を購入し、感染終息後に食べに行く。店側にとっては、緊急事態宣言に伴う外出自粛で来店客が減る中、売り上げの下支えが期待される。

さきめしキャンペーンのアプリ画面

 キャンペーンは同組合職員の西信好真(よしまさ)さん(39)が発案。Gigiに掛け合い、3月上旬に始めた。現在は全国約千店、佐世保市内約30店が登録している。
 同市戸尾町の「四軒目食堂」は3月中旬に登録。生ビールやおでんセットの券が売れている。店長の吉田恭子さん(27)は「券が売れると『みんな見てくれてるんだな』とうれしくなるし、当面のお金も入ってきて助かる」と喜ぶ。西信さんは「少しでも地元の役に立ちたいという思いで始めた。自分の好きな店を応援してほしい」と活用を呼び掛ける。
 年度末・初めの歓送迎会を控えたり、延期したりする動きも飲食店には大きな痛手となった。そんな中、長崎市職員有志は市内飲食店に歓送迎会を予約し、代金を前払いしておく試みを全庁的に推進。予算額や人数を事前に伝えて入金、新型コロナの影響が少なくなった時期に会を開き、精算する。
 市商工振興課は「3千人規模の職員で、経営のV字回復に向け応援できれば」としている。
 同市油屋町のレストラン「美食bar椿」は7日から店舗営業を休止し、14日から薬膳カレーのテークアウトとデリバリーを始めた(Mサイズ800円)。同時に5%還元のクーポン券(1万円と2万円)も発売し、常連客が購入しているという。
 代表の木下節子さん(53)は「従業員の生活を守り、お客さまの期待に応える。クーポンを発行したからには約束です」と話している。

 


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