豪州SC:eシリーズ第3戦はニュージランド勢が制圧。ウィル・パワーも最上位6位と奮闘

 VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーのeスポーツ・シリーズ『Supercars All Stars Eseries』第3戦バサーストが4月22日(水)に開催され、2016年VASC王者シェーン-ヴァン・ギズバーゲンを筆頭に、ファビアン・クルサードとスコット・マクラフランの“Kiwi”ことニュージーランド出身者が3ヒートを制圧。Triple Eight Race EngineeringとDJR Team Penskeの強豪勢が仮想空間のマウントパノラマでも勝利を収めた。

 2014年インディカー王者のウィル・パワーと、シリーズ史上唯一の女性レギュラーとして活躍したシモーナ・デ・シルベストロのワイルドカード参戦が実現した『Supercars All Stars Eseries』第3戦は、これまでとは異なりマウントパノラマ1カ所での3レース制を採用。各ヒートともにピットストップ義務が課されるなど、より戦略性を必要とする上にセーフティカー出動の要素も考慮する必要のあるセミ耐久的フォーマットとなった。

 この日のレース直前に予選トップ10シュートアウトが開催され、第2戦でレッドブル・ホンダF1所属のマックス・フェルスタッペンを降して連勝した勢いそのままに、SVGことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(ホールデン・コモドアZB/Triple Eight Race Engineering)がポールポジションを奪取してみせた。

 そのSVGはフロントロウに並んだワイルドカード枠のSuper2ドライバー、ブロディ・コステッキ(ホールデン・コモドアZB/Egglestone Motorsport)を抑えて1コーナーへ突入すると、その後も堅実なリードを維持。コステッキも2周目に早めのピットインを決めアンダーカットを狙うが、逆転には至らず。

 そのままSVGがiRacingを使用する同シリーズで3勝目を記録し、現実のバサースト1000で勝利を飾った2014年以来となるマウントパノラマでのトップチェッカーを受けることに。2位にコステッキ、3位には彼のエンデューロ・カップのペアでもあるErebus Motorsportのアントン・デ・パスカーレ(ホールデン・コモドアZB)が続くトップ3となった。

 前戦リザルトのリバースグリッドでスタートが切られたレース2は、最前列に並んだShell V-Power Racingのクルサード(フォード・マスタング)が、コステッキ家のもう1台、ジェイク・コステッキ(ホールデン・コモドアZB/Matt Stone Racing)を率いて1コーナーへ。

 すると後方では先のレースで2位に入ったブロディと、同じくSuper2ドライバーのトーマス・ランドル(ホールデン・コモドアZB/Erebus Motorsport)が名物コーナー、グリフィンズ・ベンドで接触。その後方を走っていたSVGが山の頂上でアクシデントに巻き込まれる波乱も発生する。

豪州を代表するバサーストの名門トラック、マウントパノラマでの1戦は3ヒートともアクション満載の展開となった
ファン投票にマシン決定を委ねたシモーナ・デ・シルベストロはフォード・マスタングをドライブ。残念ながらトップ10に絡むことは叶わず

■インディカー王者ウィル・パワーはライバルたちと好バトルを展開。入賞を果たす

 続くラップのコンロッド・ストレートではギャリー・ヤコブセン(ホールデン・コモドアZB/Matt Stone Racing)とレッドブル・レーシングの7冠王者ジェイミー・ウインカップ(ホールデン・コモドアZB/Triple Eight Race Engineering)がザ・チェイス進入で絡み、ジャック・ルブローク(フォード・マスタング/Tickford Racing)を道連れにクラッシュ。ブロディとパスカーレは間一髪のところで回避するこの日1番のアクシデントも巻き起こる。

 その後続での波乱とは対照的に、先頭のクルサードは静かなリードを構築し、ピット戦略を最終ラップまで引っ張ったWalkinshaw Andretti Unitedのチャズ・モスタート(ホールデン・コモドアZB)もかわしてeシリーズ初優勝を記録。その背後にはTickford Racingのキャメロン・ウォーターズと23Red Racingのウィル・デイビソンが続き、4位にもVASC連覇中のマクラフランが続いたことで、フォード・マスタングがトップ4を独占する結果となった。

 迎えた最終レース3は、前戦リザルトに従ってクルサードが再びポールからのスタートに。2度の強制ピットが課された14周の勝負は、序盤からTickford対DJRのマスタング対決の構図となり、4番手スタートとなった王者マクラフランが地力を見せて優勝を奪うことに。トップチェッカーを受けながら、ファイナルラップ最終コーナーでのプッシングがペナルティ対象となったブロディが2位、終盤浮上してきたSVGが3位に入った。

 一方、注目のインディカー王者ウィル・パワーは最初の予選で5番手と好位置を確保すると、レース1でマクラフランを抑え込み6位フィニッシュ。続くレース2はSVGと絡んでポジションを失うものの、クラッシュ多発のレース3でも混乱をくぐり抜けてモスタート、パスカーレと好バトルを展開。最終的に1コーナーで接触したものの10位を確保し、この日2度目の入賞を果たしてみせた。

 次週開催の『Supercars All Stars Eseries』第4戦は、アメリカ西部を代表するロードコース“ザ・グレン”ことワトキンスグレンと、カナダ・モントリオールのF1トラック、ジル・ヴィルヌーヴ・サーキットを舞台に争われる。

Super2参戦中のブロディ・コステッキ(ホールデン・コモドアZB/Egglestone Motorsport)は、3レースとも首位争いに絡む走りを披露
念願の地元人気シリーズ参戦を果たしたウィル・パワー。仮想空間のマスタングで最上位6位を記録した

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