サラリーマンで資産2億円JACK氏が語る「地合いの悪い時の投資」と「兼業投資家のメリット」

JACKさんは株関連で複数の著書を持つ投資歴30年以上の兼業投資家。日中の値動きを確認できない会社員でも挑戦可能な新規公開株(IPO)投資を研究し、資産を2億円以上に伸ばしました。今回は、最近のIPO投資のやり方や、地合いの悪い時の取り組み方について話してもらいました。


逆指値を使って高値更新を狙う

――JACKさんのIPO投資は公募で当選を狙い初値で売るのが基本です。上場後の値動きを狙うセカンダリー投資はやらないのでしょうか。

公募で当たらなかった人気銘柄や、上場してすぐに上方修正や好材料などを発表した銘柄は、セカンダリーを狙う時があります。IPOは手垢がついていないところが良いところなのですが、その反面、情報が少なく、積極的には買いづらいという特徴があります。株価への影響力が大きい機関投資家も、よくわからない小型のIPOなどは手を出しにくくなります。しかし、材料が出れば買う理由ができます。その買い需要で値上がりすることがあるため、10%くらいの利益を狙って買いにいくことが多いですね。

――上場日に買うこともありますか。

あります。ただ、僕は兼業投資家なのでザラ場に張り付くことができません。そのため、初値がついてストップ高の価格が決まったら、その少し手前で逆指値の買い注文を入れます。例えば2,000円がストップ高なら1,900円くらいで買い注文を入れておくわけです。1,900円まで上がって約定した場合、そこまで上がってきた勢いがありますのでだいたいストップ高に張り付きます。取れる値幅は小さいですが、上がってこなければ約定しませんから、値動きが弱かった場合のリスクは避けられます。

――買えた銘柄の売り時はどう設定するのですか。

3回に分けて売ることが多いですね。引き続き1,900円で買って2,000円でストップ高になった場合を例にすると、まず3分の1は2,000円で売ってしまいます。また、この手法は夜間取引(PTS)が使えるSBI証券を使うため、次の3分の1はPTSで売ります。ストップ高になった銘柄はたいていPTSでも上がるため、ここでも利益を上乗せできます。残り3分の1は翌日以降に持ち越し、前日終値である2,000円を割ったら売ります。翌日も上がった場合はさらに持ち越して、前日の終値を割った時に売ります。この方法で高値を追いながら利益を伸ばしていくわけです。IPOは「やれやれ売り」がないため、基本的には上値が軽くなります。売り圧力の大株主やベンチャーキャピタルのロックアップ情報は見ておく必要がありますが、地合いが良い時はこの方法で利益を伸ばしやすいですね。

生き残りさえすれば簡単に勝てる時が来る

――ひとくちにIPO投資といっても狙いどころや売買方法はいくつもあるのですね。

そうですね。セカンダリー投資に関しては今のように地合いが悪い時も狙えると思います。地合いが悪くなると初値が公募価格を下回る銘柄が出やすくなります。ですが、公募価格前後まで時間をかけてでも上げてくることがあるのです。簡単に言えば、投資家に逃げ場を作ってくれるわけですね。その値幅を狙うセカンダリー投資は有効だと思います。

また、地合いが悪い時は少しだけ目先を変えて、POをもらう手もあります。日銀が買ってくれる可能性が高いREITなどは地合いが悪い時でも比較的買いやすいと思います。とくに最近はIPO投資が周知されたため抽選配分の銘柄は当選しづらくなりました。そういう背景もあり、僕も最近はPOを継続的に狙うようにしています。

――IPOはリスクが低いと言われていますが、それでも地合いの影響は受けるのですね。

株関連で複数の著書を持つ投資歴30年以上の兼業投資家JACKさん

はい、いい時があれば悪い時もあるのが相場です。僕自身、リーマンショックの時は前述した返報性狙いで恩を売る海外債券で1,000万円負けたことがありました。ただ、大きな損があっても、手法を工夫するなどしていけば生き残れます。退場さえしなければ、5年や10年に1回くらい誰でも簡単に儲かるような不思議な相場が来ます。リスクを抑えつつ、どうにかして生き残ることが一番大事なのだと思います。

――JACKさんは投資歴30年以上です。生き残る秘訣は何ですか。

僕を含めて長く投資を続けている人を見ると、ずっとうまくいっている人はほとんどいません。みんな大きく損をした経験があり、大きいロスカットをして、そこでどうすれば良かったのかと考えてきた結果なのだと思います。株長者が生まれることがあれば、株で資産を失う人がいるというリスクをきちんと分かっておくことは大事ですよね。

僕自身について言えば、もともと性格が“チキン”なこともあって、含み損が100万円以上になると眠れなくなります。1銘柄で10万円の含み損になるだけでも嫌なので、すぐに切ってしまいます。それが結果として早めのロスカットになり、資産を大きく減らさずに済んだのかもしれません。今の相場でもロスカットせずに我慢している人がいますが、買値に戻るまでどれくらいかかるかわかりませんし、戻るかどうかもわかりません。それならいったんロスカットして、戻りそうなタイミングで再度エントリーする方が良いと思います。

兼業投資家にはメリットが多い

――JACKさんのように兼業で投資するメリットはどんなところにあると感じていますか。

資産が増えるとともにいつでも仕事を辞められるという選択ができるようになるのが良いところだと感じます。実際に辞めるかどうかは別ですが、嫌になったら辞めて良い、転勤になったら辞めてよいという選択肢を作れるのは大きなメリットだと思います。また、投資全般で考えると、例えば不動産投資などをする場合はまとまった資金を銀行から借りる必要があります。その場合は会社員である方が圧倒的に有利ですよね。専業投資家の中には、たくさん稼いでいるにもかかわらず自分の欲しいクレジットカードの審査が通らない人もいます。その点でも仕事をしていること、勤め先があるという信用は大きなメリットです。

――専業投資家という選択肢を考えたことはありますか。

あります。ただ、性格的に兼業がマッチしていて、「やめるやめる詐欺」でずっと兼業を続けています(笑)。昼間の仕事をしているとサラリーマンの金銭感覚がわかりますし、定点観測で街の状況もわかります。株で儲かったお金で海外旅行や外食などを楽しみつつ、一方では会社員として規則正しい生活をするというのが僕にとって心地よいのです。専業になった場合はトレードスタイルを変えないといけないでしょうし、朝までお酒を飲んだり、昼まで寝てしまう可能性もあります。ダメ人間にならないようにするという点も兼業のメリットかもしれません(笑)。

――最後に、投資家としての今後の目標を教えてください。

僕は株が面白いと思っていますから、できるだけ多くの人に知ってほしいですし、やったことがない人にはぜひ挑戦してほしいとも思っています。今の地合いは、アベノミクスの時のように持ちっぱなしではなかなか増えませんが、きちんと取り組めばお金は増えます。IPO投資のようにリスクが小さい投資法もありますし、配当金を得るだけでも預金の利息よりは多く、確実なインカムゲインを計算できます。そういった魅力を多くの人に伝えていきたいですね。僕自身も株仲間と話をして盛り上がるのが好きですので、そういう機会を増やしたり、集まれる場を作っていきたいとも思っています。

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