【球児の今】八戸学院光星が今も変わらず練習を続ける理由 仲井監督「きれいごとだけでは…」

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感染防止策を徹底しつつ可能な限り練習を続けている【写真提供:八戸学院光星野球部】

外部とは隔絶された練習場で、可能な限り例年通りの練習を続けている

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日本政府は5月6日までの期間、緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大することを決定。高校野球の現場でも夏の予選をはじめ先行き不透明な状況が続く中、各校の監督、選手はどんな思いで日々を送っているのか。練習自粛を決断する学校も多い中、対策を徹底しつつも可能な限り“いつも通り”の練習を継続する八戸学院光星・仲井宗基監督にその信念を訊いた。

「対外試合は自粛中ですが、練習は普段通りやれています。アルコール消毒と日々の検温、健康観察は徹底していますが、マスクをさせて練習ということもない。いろいろな意見はありますが、できる限りのことをやろうというのが僕らが出した結論です」

学校は3月4日に休校を決定。当初は寮生を全員帰省させる予定だったが、感染拡大地域である関西からの出身者も多く、保護者からは「寮に残してほしい」との声も相次いだ。協議の末、全員が寮に残ることを決定。寮や練習場は八戸市内の中心部から離れた場所に位置し、外部との接触は限られている。外出禁止と感染防止策を徹底しつつ、今も普段通り練習を続けている。

「選手には『何のために野球をやっているのか』という話をしました。目標と目的は違う。目標は甲子園でも、目的は野球を通じて社会で通用する人間になること。『お前たちは目標がなくなっても頑張れるか?』と聞いたら。全員が『ハイ』と答えました」と仲井監督。批判的な声もある一方で練習を継続する背景には、遠くから選手を預かる強豪校なりの事情もある。

「野球どころではない」と知りつつ「そんなに簡単に片づけられることではない」

「きれいごとを抜きにして言うと、彼らは野球をやるためにうちに来ている。仮に甲子園という目標がなくなっても、野球をやることの先に進路という形での将来があるんです。そのための技術や体力は磨き続けないといけない。この先大学の練習やセレクションがあるのかはわかりませんが、そこは僕にできるツテやコネを使って。甲子園に行くため、野球で大学に行くために八戸まで送り出してくれた親御さんや本人の希望はできる限り叶えてあげないといけない」

親元を離れてまで野球を選択した球児たちの事情。それは部活動としての野球だけでなく、その先の将来にも通じる大きな決断だ。「野球どころではない」という意見は理解しつつも、「そんなに簡単に片づけられることではない」と仲井監督は言う。

「今年の代は甲子園がないから、練習ができないからと僕自身が投げやりになることはできない。今年の夏も、結果が出るまであきらめることはできません。日々の練習を可能な限りやるのが彼らにとっての誠心誠意の在り方。もちろん感染は絶対にしてはいけない。それはちゃんと確保したうえで、僕らは一生懸命、できる限りいつも通りの練習をさせてあげないといけない」と指導者としての信念を語った仲井監督。甲子園出場だけがすべてではない、球児の人生に寄り添った指導を続けている。(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)