リカルド「ビアンキがルクレールのように成功する姿を見たかった」

 ルノーF1チームのダニエル・リカルドは、故ジュール・ビアンキは非常に優れたドライバーであり、生きていれば大きな成功を収めたはずだと考えている。現在フェラーリで活躍するシャルル・ルクレールを見ると、ビアンキを想起するとリカルドは言う。

 リカルドは『Dan’s Diary』と題したソーシャルメディアへの投稿のなかで、ともにF1のグリッドで戦ったライバルたちのうち、最も過小評価されていると考える5人を紹介した。そこにはビアンキとともに、マーカス・エリクソン、ビタントニオ・リウッツィ、ロベルト・メリ、ジェンソン・バトンの名前が挙げられている。

 フェラーリの育成ドライバーであり、いずれ同チームのフルタイムシートを獲得するとみられていたビアンキは、2014年にマルシャから参戦した日本GPでの事故で頭部を負傷し、2015年の7月にこの世を去った。

「ジュールは過小評価されていたというわけではないが、彼がトップのマシンで走る姿を見ることは叶わなかった。だからもしかしたら人々は、彼がどれだけ優れたドライバーになるところだったかを認識していないかもしれない」とリカルドはビアンキについて心のこもった言葉を綴った。

「2014年のモナコでの彼の走りを思い返してみてほしい。彼はマルシャに初ポイントをもたらした。モナコはマカオに似て、決してまぐれで結果を出せるようなところではない。本当に素晴らしい結果だった」

「カートで走っていたジュニア時代から、ジュールは大した男だった」とリカルドは付け加えた。

「僕たちはイタリアのビアレッジョにある『フォーミュラメディシン』で行われたトレーニングで出会ったんだ。皆まだ17歳だったけれど、それでも誰もが、彼のことをすでにF1ドライバーであるかのように扱っていた」

「知り合ってすぐに友達になった。そして彼がどういう人物なのか、僕がヨーロッパに行く前に彼がどれだけの成果を上げていたのかを知ったんだ」

「それを思うと悲しくなる。なぜなら彼は今ごろトップチームにいて、絶対に優勝していただろうからね」

2014年 ダニエル・リカルドとジュール・ビアンキ

 ビアンキの家族とルクレールの家族は、レースへの情熱を共有し、カートやモータースポーツのジュニアランクにおいて、勝利と喜びを分かち合ってきた。

 ビアンキはルクレールの兄のような役割を務めていた。彼はルクレールがマルセイユ近くのブリニョールにある、ビアンキ家のカートトラックでデビューする場面にも立ち会った。

 2013年にF1に到達するまでの間にも、ビアンキは若きルクレールを導いてきた。ルクレールは後に、ビアンキの後に続いてマラネロの門をくぐることになる。

「ある意味、シャルルが今やっていることは、ジュールがやっていただろうことだと感じる」とリカルド。

「シャルルは、ジュールが収めただろう成功を、今達成しているように思うんだ」

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