人を動かす

 いつの時代も、人を動かす難しさはリーダーたちにとって最大の悩みだ。〈百人までは命令で動くかもしれないが、千人になれば頼みます、一万人にもなれば、拝まなければ人は動かない〉は“経営の神様”松下幸之助氏の言葉▲今、世の最大のテーマは「動かない」という選択の側に人々を「動かす」こと。文字で書くとややこしいが、面白がっているわけではない。コロナ一色に塗りつぶされた4月も最後の週末。大型連休が始まる▲東京都の小池百合子知事は外出抑制を重ねて訴え、都幹部が「なるべく自宅に」と話すと横からかぶせるように「なるべくじゃなく、絶対」。本県も「人の動きに大きな変化が見られない」として昨日、事業者への幅広い休業要請に踏み切った▲その昨日も、実に爽快に晴れた。隣の週間天気予報を見ると、好天がしばらく続く。先で待つのは長く長く窮屈な休みかもしれないが▲これも松下氏の言葉。〈何としても二階に上がりたい、どうしても上がろう、この熱意が梯子(はしご)を思いつかせ、階段を作り上げる。上がっても上がらなくても、と考えている人の頭からは梯子は生まれない〉▲収束が見渡せる次の場所へ梯子を掛けるため。今年のGW、GはガマンのG、頑張る-のG、ゴロ寝のGだ。最後のはあまり努力が要らない。(智)

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