メクル第457号 「見えないお金」 電子マネー

カードを読み取り機にかざして「ピッ」と鳴れば支払いができる

 日本では今、急速にキャッシュレス化が進んでいます。キャッシュレスとは、現金(げんきん)(キャッシュ)が手元になくてもカードやスマートフォンなどで簡単(かんたん)に支払(しはら)いができることです。身近なものには、「目に見えないお金」といわれる電子マネーがあります。でも、その仕組みを理解(りかい)している子どもたちは、まだ多くはないのでは? 電子マネーとの付き合い方について、「キッズ・マネー・ステーション」認定講師(にんていこうし)の龍堂理恵(りゅうどうりえ)さん(36)に教えてもらいました。

 物を買うときや、電車やバスに乗るとき、カードで「ピッ」とすることが多くはありませんか? カードの中にお金があらかじめ入っている、これが電子マネーです。

★先にチャージ
 主流はプリペイドカードです。プラスチックのカードにICチップが埋(う)め込(こ)まれていて、前もって金額(きんがく)分のデータを入金(チャージ)しておきます。買い物などの際(さい)には、それを読み取り機にかざしたり、タッチして支払(しはら)いをします。
 県内では、路線バスや電車、鉄道で利用できる「長崎スマートカード」がよく知られています。昨年から今年にかけて、新しい交通系(こうつうけい)カード「エヌタスTカード」「ナガサキニモカ」の利用も始まっています。

★防犯(ぼうはん)に役立つ
 電子マネーの特徴(とくちょう)は、所持するのが薄(うす)くて軽いカード1枚(まい)で済(す)むこと。たくさんの紙幣(しへい)や硬貨(こうか)を持ち歩かなくてもよくなるので、防犯(ぼうはん)にも役立ちます。
 支払いも簡単(かんたん)です。自動で金額が引かれるので、店員もお釣(つ)りを間違(まちが)えることがありません。
 店の側にとってもレジの処理(しょり)スピードが上がったり、セルフレジの導入(どうにゅう)がしやすくなって人件費(じんけんひ)を減(へ)らせたりします。

電子マネーの特徴

★減(へ)る感覚薄(うす)く
 一方で、カードにどれだけチャージされていても、重さや見た目が変わらず、いくら残っているかも分かりにくいというデメリットがあります。財布(さいふ)の中の現金が残り少ないのを実際(じっさい)に目にすれば、「買うのを我慢(がまん)しよう」と思うこともあるでしょう。電子マネーだと手元からお金が減る感覚が薄いため、無駄遣(むだづか)いをしてしまう可能性(かのうせい)があります。
 電子マネーが全ての店で使えるわけではありません。頭の中でお金の計算をする機会も減りそうで、計算能力(のうりょく)が低下しないかと心配する声もあります。

★しっかり管理
 「ピッ」とすれば物が買えてしまう電子マネーは、まるで「魔法(まほう)のカード」。ですが、形や使い方が違(ちが)うだけで、使える額に限度(げんど)があるという点では財布に入った現金と同じです。いくら使ったのか、残金はいくらなのか、しっかり管理することが必要です。

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 保護者の皆さんへ

 今や、交通系カードでも、店で物が買える時代です。子どもに電子マネーを持たせるときは、その目的をしっかり伝えることが必要です。何に、どのように使うのか、ルールづくりも大切です。
 電子マネーは、使った記録を後から見ることができるのも利点です。子どもに残高の確認(かくにん)方法を教えるとともに、2週間に1度くらいは使った記録を一緒(いっしょ)にチェックしましょう。紛失(ふんしつ)したときの対処法(たいしょほう)も教えておきましょう。

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 長崎市在住。県内で「お小遣(こづか)い会議」やマネースクールを開いている。問い合わせはオフィス・アイ(電095.818.7171)。

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