インターハイ中止 「命に関わる事だから…」長崎県内関係者 落胆と諦め 本当に苦しい 報われる場を

昨夏の南部九州インターハイの総合開会式。県勢を代表して入場行進した純心女高バスケットボール部=2019年7月27日、鹿児島市の鹿児島アリーナ

 全国高等学校体育連盟(全国高体連)が史上初となる全国高校総合体育大会(インターハイ)の中止を決めた26日、長崎県内の関係者にも波紋が広がった。「ショックは大きいが、命に関わることだから…」。先が見えない不安の中、開催を信じて努力してきた指導者や選手からは落胆と諦めの声が上がった。

 昨夏の南部九州インターハイで「4校同時優勝」(台風の影響で日程変更)したソフトボール男子の大村工高。山口義男監督は「春夏日本一を目標にやってきたから本当に苦しいと思う」と言葉を絞り出し、続けて「生徒たちも今の状況は分かっているし、できることは立派にやってきた」と教え子たちの努力を評価した。
 ハンドボール男子の瓊浦高は昨夏の3位メンバーが多く残っており、夏の頂点へ向けて手応えをつかんでいた。末岡政広監督は「冬に全国大会がある競技はまだいいが、ない競技はこれで終わりとなる。日本協会などが、冬に何らかの形でやれるように努力してもらいたい」と強く求めた。
 柔道女子の長崎明誠高は昨夏団体5位。今季も好選手がそろい「日本一」を掲げていた。小森講平監督は「日ごろから“何があっても諦めずに前へ進む”と教えてきたことが試されるとき」、押領司万絢主将は「ショックは大きい。でも、この先や大学で生かせるように、残りの高校生活もしっかり練習していく」と気丈に話した。
 今夏の全国中学体育大会(全中)も中止の公算が大きい。長崎日大中・高陸上部は、中学、高校ともに優勝候補の選手が育っていた。佐伯直也監督は「本当はショックが大きいはずなのに懸命に納得しようとしている生徒の気持ちを考えるとつらい。この子たちが報われるような場を用意してもらいたい」と願った。
 今回の決定は、全国高校野球選手権開催可否の判断に影響する可能性もある。中止となった春の選抜大会に出場予定だった創成館高の稙田龍生監督は「全体的に中止の流れになっている。今までの概念にとらわれず、できる限り考えてやってほしい」と複雑な思いを吐露した。

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