クルーズ船2隻が長崎出港 国通じ県が協力求める

三菱重工業長崎造船所香焼工場から出港するクルーズ船コスタ・ネオロマンチカ。左はコスタ・セレーナ=26日午前11時40分、長崎港

 長崎市香焼町の三菱重工業長崎造船所香焼工場に停泊していたイタリア船籍のクルーズ船コスタ・ネオロマンチカ(5万6千トン、乗組員391人)とコスタ・セレーナ(11万4千トン、同669人)は26日、長崎を出港した。

 2隻は同工場内に停泊中に新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生したクルーズ船コスタ・アトランチカと同じ運行会社「コスタクルーズ」が所有。3隻の間で乗組員の移動があったとされるが、県によると、移動日が(ウイルス潜伏期間の)2週間以上前で、現在も2隻から感染者は確認されていないため、コスタ社が出港を判断したと報告を受けているという。
 三菱重工とは4月末まで係留する契約を結んでいたが、コスタ社の日本支社は「乗組員の(感染からの)安全確保」を理由に出港を早めたとしている。ただアトランチカ以外の客船から感染者が発生した場合、医療支援が困難になる恐れがあるとして県が国を通じて出港するよう協力を求めていた。
 ネオロマンチカは午前11時ごろ、セレーナは午後8時ごろ出港。日本支社によると、いずれも寄港先はフィリピンで調整中。ネオロマンチカの看護師が医療支援のためアトランチカに乗り換え、アトランチカの乗組員は624人になった。
 また24日に長崎を出港した同社所有のコスタ・ベネチア(13万5千トン、乗組員781人)が、予定時刻の午後6時半を大幅に遅れて、同11時前に松が枝岸壁を離岸した理由について県は「次の行き先がなかったのではないか」と説明。「粘り強く説明を行い条例に基づき移動命令を出した」という。ベネチアは燃料や食料不足で漂流の恐れがあるとして、県は人道上の理由で23日に入港を受け入れていた。


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