いつの間にこんな値段に!? プレミア価格がついた90年代国産車5選

【初代】ユーノス ロードスター[1989-1997]

あの時迷わず買えば良かった!? プレミアムな国産車たち

日産のパイクカー「フィガロ」「パオ」「Be-1」|日産ヘリテージコレクション 取材会[2018年6月27日/日産座間事業所(神奈川県座間市)]

中古車といえば、一般的には“新車よりも手ごろな価格で手に入れることができるもの“という認識があることでしょう。新車では手が出なかったけど、1年落ちの中古車ならなんとか……という感じで憧れのクルマを手にした人も少なくないハズ。

その一方で、もう中古車としてしか手に入れることができないクラシックカーはかなりの高額で取引されているのもまた事実。しかし今では60~70年代の旧車だけではなく、つい最近のクルマというイメージのある90年代の車両も車種によっては驚くべき価格となっているものも少なくないのです。

ホンダ シビックタイプR(初代)

ホンダ シビック タイプR(1997年)

NSX、インテグラに続く、ホンダのタイプRシリーズ第3弾として1997年に登場したシビックタイプRは、シビックとしては6代目のモデルに追加で設定されたものでした。

軽量化と同時に剛性アップも施された3ドアハッチバックのボディに締め上げられたサスペンション、1.6リッターのまま185PSまでハイチューンされたB16Bエンジンの組み合わせは、ツルシの状態でもサーキットアタックを可能なポテンシャルを誇っていたのです。

それでいて価格は200万円を切る199.8万円(登場時)と比較的安価で、中古市場でも手ごろな価格だった時代にはヤンチャなユーザーにゴリゴリにシバかれた個体も少なくなく、気づけば程度の良いものは希少な部類に。

現在では安いものでも100万円を切ることは稀で、高いものでは300万オーバーという驚愕のお値段となっています。

日産 フィガロ

日産 フィガロ

初代マーチをベースとした日産のパイクカーシリーズ第3弾として1991年に販売されたフィガロ。販売台数は限定2万台で、3回の抽選によって購入者を決定する方法が取られました。

サイドの部分を残したままルーフからリアウィンドウ部までが開閉可能な手動オープントップをもっており、内装も白の本革シートがおごられるプレミアムでエレガントなコンパクトクーペに仕上がっており、価格も187万円とパイクカーシリーズの中では高価となっていました。最近では某刑事ドラマの主役の愛車としても知られる車種ですね。

台数限定の車両ということで中古車も比較的高値をキープしていましたが、それまでも人気があったイギリスのほか、25年ルールで輸入が可能となったアメリカなどの諸外国にも輸出されるようになって相場が上昇。程度の良いものでは150万円前後、中には300万円を超えるものもあるようです。

ユーノス ロードスター

【初代】ユーノス ロードスター[1989-1997]

すでに過去の遺物となりかけていた、ライトウェイトオープン2シーターというジャンルに再び活気を取り戻させたという点では、非常に大きな役割を果たしたと言っても過言ではない初代ロードスター。日本はもとより、海外でも人気が高く、現在でも世界各地でオーナーズクラブなどが活発に活動をしています。

実用車であるファミリアのエンジンがベースということもあり、決して速いクルマではありませんが、人馬一体の操作感などは現行モデルにも受け継がれており、今なお多くのファンを獲得し続ける名車と言えるでしょう。

日本では12万台近くが販売された初代モデルは、長らく手ごろな価格で購入できる入門的スポーツカーというポジションでしたが、2017年末からマツダがレストアサービスをスタートし、部品の再供給もアナウンスされると相場が上昇。現在は限定モデルではないものでも、走行距離が少ないものなどは200万円オーバーというものも珍しくない状態となっています。

トヨタ クラウンワゴン(130系)

クラウンワゴン

今年でデビュー65周年を迎えるトヨタの高級車、クラウン。現在はセダンボディ1種類のラインナップですが、過去にはステーションワゴンも設定されていました(2ドアクーペなどもありましたが)。

現在のところクラウン最後のステーションワゴンは2007年まで生産されていたクラウンエステートですが、その1世代前のワゴンである130系クラウンワゴンは、1987年から1999年まで生産されていた長寿モデルです。

現役時代は地方自治体の公用車などにも採用され、働くクルマのイメージも強かったクラウンワゴン。そのクラシカルな風貌も含めて若いユーザーのカスタムベースとして人気を博したこともありましたが、それも安価で購入できたからです。

しかし、現在では一通り仕上がった個体や高年式低走行のものでは100万円オーバーも珍しくなく、気軽に買える車種ではなくなりつつあるのです。

日産 スカイライン(R32型)

日産 スカイライン(8代目)

R32型スカイラインと言えば、第2世代GT-Rが復活したモデルという印象が強いことでしょう。現在では海外からも引く手あまたで相場はうなぎ登り。中には1000万円オーバーというものも登場しています。

そしてGT-R人気の影響を受けてなのか、非GT-Rである通常のR32スカイラインも気づけばかなりの高額車になっていました。ATやノンターボのモデルでさえ100万円弱からスタートで、ターボの純正MTで低走行ともなると、200万円オーバーの個体もあるほど。

2000年前後では200万も出せばかなり極上のR32GT-Rが買え、GTS-t タイプMなどは30万円くらい……という常識は今では全く通用しません。こちらもシビックタイプRと同じく、かなりの台数がシバき倒され、現状ではほとんど残っていないというのも理由のひとつかもしれませんね。

ということで、気づけば高額になっていた中古車をご紹介しました。どれも最安値の時代では10~50万円程度で狙うことも不可能ではなかったモデルばかりですが、時代の流れとは恐ろしいもの。

あの時買っておけば……とか、あの時手放さなければ……と思う人もいるかもしれませんが、今底値のあのクルマも、20年寝かせておけばお宝に化けるかもしれませんよ?(責任は負いかねます)

[筆者:小鮒 康一]

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