森ゆうこ議員は除染詐欺の広告塔【告発!】|松崎いたる 官僚へのパワハラ、民間人である原英史氏への名誉毀損、人権侵害だけではない!少なくない被害者に代わり、未だ反省も一言の謝罪も一切ない森ゆうこ議員の悪行をここに告発する。彼女に政治家の資格はない。即刻議員辞職すべきだ!

除染詐欺に加担

国民民主党の森ゆうこ参院議員の横暴勝手な振る舞いが、大きな問題になっている。月刊『Hanada』2020年1月号でも、デマ情報の拡散、官僚へのパワハラ、そして民間人である原英史氏への名誉毀損、人権侵害など、最近の同議員にかかわる問題が特集されたばかりだ。

しかし、森議員の悪行はこれだけではない。なかでも忘れてはならないのが、ナノ銀ニセ除染詐欺に加担したことだ。

わたしは、このナノ銀除染のインチキをネット上や板橋区議会を通じて告発したことで、首謀者の元板橋区職員から「名誉毀損」で訴えられ、4年半に及ぶ裁判闘争を余儀なくされた。東京高裁の判決は当然ながら私が全面勝訴し、そのインチキは司法にも認定されたが、ナノ銀の広告塔となった森ゆうこ議員はまったく反省していない。

2018年12月7日参議院本会議より
発言を制止される前代未聞の事態。それでもやめない森議員。

科学を装って人を騙す

「ナノ銀除染」といっても、知らない人のほうが多いだろう。

ナノサイズの銀粒子が放射性物質に核変換をおこし放射能を無害化する──こんな除染方法を東京・板橋区のホタル飼育専門の職員(当時)だった阿部宣男氏が、2011年の東日本大震災による福島原発事故の直後から主張し始めた。

だが、これはインチキだ。放射能を無害化するクスリなど、この世には存在しない。科学的根拠は全くないのに、科学を装って人を騙すニセ科学そのものだ。

日本共産党の板橋区議だった私は、区職員が「ナノ銀除染」という詐欺まがいのニセ科学を吹聴し、「ナノ銀簡易飲料用濾過セット」なる商品の販売にまで関与していた事実を知り、「ナノ銀除染はインチキだから騙されないように」という警告をSNSで発信。事実調査をしながら、区議会でもこの問題を何度も取り上げてきた。

「詐欺」を国会で大宣伝

調査のなかでさらに驚いたのが、このナノ銀除染が国会質問でも取り上げられていたことだ。ただし、インチキ除染への警鐘としてではなく、「新しい除染技術」として国の除染事業に取り入れろ、という主旨の途方もない要求だった。

その国会質問の主こそ、森ゆうこ参院議員だったのである。森議員は2013年3月6日の参院本会議で、次のような質問をしている。

「放射能対策は最優先の課題です。原発サイトの汚染水問題や各地の放射性汚泥など、一時的な管理は限界に達しつつあります。新しい技術も活用し、これまでにない発想で早急に対応すべきです。あわせて、放射能で汚染されたものを拡散する政策は世界の常識に反するものであると考えますが、総理の御所見を伺います。

例えば、新しい技術の中に、下村文部科学大臣も御関心のあるナノ純銀によるセシウム低減技術があります。2月6日、放射線関係の研究会で、半減期を著しく短縮させる減弱効果があったとの検証測定結果が報告されました。まずは、しかるべき機関に実情を調査研究させるべきと考えますが、下村大臣、いかがですか」

「減弱効果があった」というデタラメの国会質問

国会議事録より

森議員が質問のなかで「2月6日、放射線関係の研究会」といっているのは、「高エネルギー加速器研究機構 放射線科学センター」が開催した「研究会『放射線検出器とその応用』(第27回)」のことだが、「発明者」の阿部氏が元大学教授I氏とともに、この研究会にレポートを提出しているだけのことだ。

そのレポートには、こんなことが書かれている。

「もとより、放射性崩壊強度を人工的に変化させることはごく一部の特殊例を除けば常識外れである。当効果(“阿部効果”と仮称)は、第二著者:阿部により、事故後(福島原発事故のこと──引用者)、ナノ銀担持濾材のホタル生態環境保全の高い能力から、もしやホタル館周辺の放射能低減もとの発想から11年6月頃線量軽減試行過程で偶然発見された」(「ナノスケール純銀担持体の放射性セシウム減弱効果の検証測定」)

しかし、阿部氏が働いていた板橋区ホタル館は放射性物質を扱える施設ではなく、同施設で研究が行われた事実はない。

森議員は「半減期を著しく短縮させる減弱効果があった」というが、まったくのデタラメなのである。そもそも放射性物質の半減期はそれぞれの核種ごとに固有のものであり、短縮させることはできない。核分裂や核融合で一気に放射線を放出することを「半減期の短縮」と拡大解釈したとしても、それは放射線が一度に放出されることだから、「減弱効果」どころか、人体に大量の放射線被曝をもたらす危険がある──とはいえ、そんな核反応が起こるはずもなく、空想の産物でしかない。

銀には除菌や消臭に効果があることは知られているが、ナノ銀といえども核反応を起こすことは決してない。核反応を起こすには、化学反応の百万倍ものエネルギーが必要だからだ。

下村文科大臣も効果を完全否定

また、質問のなかに「下村文部科学大臣も御関心のある」とあるのは、民主党政権時代、野党議員だった自民党の下村博文代議士(板橋区選出)が地元のホタル館を訪問した際、阿部氏から「ナノ銀除染」の「実験」を見せられ、そのときの感想を自身のブログに肯定的に書いたことを指す。

「ホタル生態環境館で阿部宣男さんに話を聞く。その板橋でもホタルに奇形が生まれている。放射線の影響だそうだ。そのために、阿部さんはナノ純銀粒子による放射性物質の低減実験を行っている。環境に敏感なホタルやクロマルハナバチ再生等でカビ、病原性大腸菌、ウィルス対策としてこれまでもナノ純銀粒子(抗菌メカニズム)及び担持材を研究して10年になるが、これが放射性物質にも効果があることがわかったという」(ホタル生態環境館のホタルの奇形出現、2012年6月23日)

このブログのあと、自民党は政権に復帰。文科大臣に就任した下村氏は森議員の質問に、「私も関心のあるナノ純銀によるセシウム低減技術でございますが、日本原子力研究開発機構(JAEA)が関係の大学とともに二度にわたる試験を実施しましたが、残念ながら御指摘の効果は確認されなかったものと聞いております」と効果を否定する答弁をした。ブログ記事も削除した。

当初は大絶賛していた下村氏でさえ、否定せざるをえないインチキな「ナノ銀除染」を国会質問で大宣伝したのが森議員だったのだ。

小沢一郎の存在

都合の悪いことにはだんまり

じつは、ナノ銀の除染効果についてJAEAに検証試験を指示したのは下村氏ではなく、民主党政権下で文科副大臣を務めていた森氏だった。試験結果の報告を森氏が受け取る前に政権が再び自民党に交替し、森氏が指示した試験の結果を下村氏が受け取る役割となったのだ。

文科副大臣だった森氏を動かしたのは、小沢一郎代議士と小沢氏の側近である平野貞夫元参院議員と見られている。

平野氏は当時の事情を自身のメールマガジンで次のように述べている。

「震災直後、阿部博士がナノ純銀粒子を活用して放射性物質の低減に成功した。阿部博士から私に、『無害な技術であり、小沢さんが政治活動できるきっかけに活用して欲しい』と申し入れがあった。小沢さんは『物理の原理が修正されるかも知れない技術だ。政治に利用してはいけない。あなたが相談役になって被災者の救済に役立つように協力してやって欲しい。森ゆうこ文科副大臣にも話をしなさい』とのこと。……小沢さんはこういう形で放射能浄化の活動を支援しているのである」(平成24年12月3日「日本一新運動」の原点138)

当時、小沢氏は陸山会事件のために民主党代表を辞任しただけでなく、党員資格の停止にまで追い込まれ、事実上の失脚状態だった。小沢氏からは「政治に利用してはならない」と注意されたことになってはいるが、このエピソードは何度もくりかえし平野氏から言及されており、平野氏や森氏がナノ銀除染を小沢氏復権の足掛かりにしようとしていた意図が透けて見える。

自分の生活と自分の選挙が第一党!

敵は既得権益に固執する“原子力村の住人たち”

懸命の復旧復興作業が続く福島第一原発

平野氏は著書で、ナノ銀除染を福島第一原発の汚染水を浄化する「新技術」として大絶賛したうえで、「小沢氏が民主党政権から排除されなければ、この技術は放射能対策にただちに活用されたであろう」とまで述べている(『戦後政治の叡智』イースト新書 2014年2月)。

森氏は、陸山会事件での小沢氏を擁護するために『検察の罠』という著書を出しており、その続編の『日本を破壊する5つの罠』(2013年6月発行)のなかで「原発再稼働の罠」という章をたて、原発は「コストが高い」という自説を前提にして「経済合理性の低い産業にしがみついて、新たな産業創出を阻む“原子力村の住人たち”は既得権益層の典型である。 彼らを排除することこそ、真の構造改革であるはずだ」と書いている。

そして、「原子力発電はコストが安いということで推進されてきたのだが、 実は最終の処理、高レベルの廃棄物の処理についてもまったく解決策はないし、いくらかかるかもわからないぐらい膨大なコストがかかる話だし、ましてや福島の原発はまだまだまったく収束していない」という小沢一郎氏の言葉を「とつとつと語るその声のなかには、静かな憤りと、絶対にこのままなし崩しは許さない、という決意がにじんでいた」というコメントを添えて紹介している。

森氏の選挙区である新潟県は柏崎刈羽原発の再稼働問題を抱えており、原発の問題は森氏の政治命題ともいえる。この著書には、その森氏の反原発の後ろ楯となっているのは小沢氏であり、敵は既得権益に固執する“原子力村の住人たち”である、という森氏の考えがよく表れている。

虚偽に満ちた「実績」

話を「ナノ銀除染」に戻そう。“発明者”の阿部宣男氏は前述のとおり、板橋区職員という公務員だった。ホタル飼育一筋という「実績」もある。

しかし、阿部氏の「実績」は虚偽に満ちたものだ。

阿部氏は1980(昭和55)年に板橋区立こども動物園の飼育員として区職員に入職したが、2012年に出版した著書『ホタルよ、福島にふたたび』のなかで、この入職が地域で影響力があった父親のコネで実現したことを明かしている。

その後、1989(平成元)年1月に区立温室植物園に異動。同年7月からホタル飼育を担当することになったが、2014年に退職(当初は懲戒免職だったが、のちに普通退職扱いに変更された)するまで、ホタル飼育専門の区職員であった。場所は植物園からホタル館へと変わったが、25年間も異動がないのは地方公務員としては異例中の異例といえる。

これも阿部氏自身が著書で明かしていることだが、元暴走族で窃盗、暴行、恐喝などで更生施設送致という「不良ぶり」を誇らしげに自慢している。そんな人物が、希望どおりに異動なしで好きな仕事を続けられてきたことを「ホタル館は阿部専用のペット小屋だ」と他の職員は揶揄していた。

血税10億円を投入したが・・・

阿部氏はホタルについても、余所の養殖場から買ってきたホタルを「館内で飼育している」とウソをついていた。

板橋区ホタル生態環境館では毎年、ゲンジボタル、ヘイケボタル2万匹超を羽化(成虫になること)させてきた、と阿部氏は区に報告してきた。しかも1989年にゲンジの卵300個を福島県大熊町から、ヘイケの卵700個を栃木県日光市からそれぞれ導入し孵化させて以降は、いっさい他の遺伝子を他から導入しない「累代飼育」という特別な飼育法を続けてきた、と報告してきた。その予算は年間約3000万円、25年間の税金投入の総額は10億円をゆうに超える。

阿部氏のウソが発覚するきっかけは、「ホタルは持ち込まれたものだ」という密告が区にもたらされたからだ。区は1年近い内偵調査を経て、2014年1月にホタル館のホタル幼虫を捕獲する飼育数調査を実施した。

その結果、発見された幼虫はわずか2匹。発見漏れを考慮し、計算した推定数でも23匹しかホタル館内にはいないという結果になった。阿部氏の報告どおり、2万匹を羽化させるには、幼虫時には少なくとも7万匹が存在しなければならない。大量飼育の実態がないことは明らかだった。

ホタル飼育のために支出された公金の大半は、阿部氏の知人で、阿部氏の推薦でホタル館管理の業務を委託されていた観賞魚関連の業者に委託料として支払われ、一部はこの業者を通じて阿部氏の仲間の女性に手渡されていた。区は警察にも相談していたが、阿部氏本人にカネが渡った直接の証拠がつかめず、捜査は中断した。

公金横領、詐欺事件として立件されなかったが、カネを受け取った女性は現在、阿部氏とともにホタルやナノ銀関係の一般社団法人を設立し共同代表になっており、阿部氏と一心同体の関係にある(ちなみに阿部氏の知人業者は共産党員で、この事実を党中央に報告して党内調査を求めた私は、逆に党から何度も査問を受け、権利停止などの処分を受けた挙げ句に除籍され、党から追放されてしまった)。

「エボラ出血熱にも、狂牛病にも、新型インフルエンザにも効く」と宣伝

サンデー毎日の提灯記事

阿部氏が主張するナノ銀の効果は、その時々に話題になった流行病とともに拡大していった。阿部氏によって、新型インフルエンザ、BSE(狂牛病)、エボラ出血熱にも「ナノ銀が効く」と宣伝されてきた。

そして福島原発事故の直後から突然、「ナノ銀は放射能を無害化する」という途方もない主張に飛躍する。

こんなデタラメを安易に信じたのが、小沢一郎氏の盟友である平野貞夫氏であり、森ゆうこ氏であった。

毎日新聞系列の週刊誌『サンデー毎日』は二度にわたり、ナノ銀除染を肯定的にとりあげている。その内容ははっきり言えば、小沢氏、森氏を持ち上げる提灯記事だ。

同誌2012年5月6日・13日号は「小沢が進める『放射能浄化』計画の仕掛け人」として森議員を取りあげ、「少しでも除染の可能性があれば試みるべき。しかし、役所は各部署で縦割り。『予算の枠内で』 『決定したことは変えられない』などと既得権益ばかり守ろうとする。それを変えない限り、放射能浄化は遠のくばかりです。今後は自由な立場で働き掛けていきたい」という森氏のコメントを紹介している。これは森氏の国会質問の予告となっている。

森質問後の2013年3月31日号には、「アッキーが視察したナノ銀の除染効果」という記事を掲載している。 アッキーとは、安倍晋三首相の夫人・安倍昭恵さんのことである。昭恵夫人が板橋区ホタル館を訪問し、阿部宣男氏からナノ銀除染の実験を見せられ、「主人(安倍首相)に伝えます」と語ったというのが記事の主旨である。この記事のなかで阿部氏は、「私と昭恵さんの共通の友人が縁で、放射能の除染方法や効果を知りたいということで来館されたのです」と昭恵夫人が視察した経緯を語っているが、その「共通の友人」が平野氏であることは、平野氏が各地の講演会などで自慢気にほのめかしていることから明らかになっている。

森氏はモリカケ問題では、昭恵夫人が「広告塔」の役割を担っていたとして盛んに非難していたが、ナノ銀除染では自身が、平野氏、小沢氏、『サンデー毎日』によって、昭恵夫人とともに広告塔にされ、インチキ除染技術の売り込みをしていたのである。

何度も何度も実験のやり直しを強要

私は、森氏からナノ銀の除染効果についての検証試験を指示されたJAEAの幹部と、実際に試験を担当した大学教授から話を聞く機会があった。

JAEA幹部は、「銀で放射能を低減できるなんてあり得ないことは、科学の基本的な知識があれば、実験などしなくてもすぐにわかることだが、文科副大臣からの指示では断ることはできなかった」と話してくれた。

大学教授は、「ナノ銀で核反応が起きるなんてことは非常識で検証する必要もないが、『放射線量が低減している』といわれ、何か別の原因で低減しているように見えるのだろうと思い試験してみた。試験結果は、ナノ銀と一緒に入れる水分や骨炭が放射線を遮蔽して測定値が減っているに過ぎなかったが、森氏や阿部氏は納得せず、何度も試験のやり直しをさせられた」と証言している。

教授は「最後には『試験に使った測定器が狂っている』と言い出したのですが、私は全国で使用されている放射線測定器の校正の仕事もしています。私が使用している測定器が間違っていたら、全国の測定器が全部間違っていることになってしまいますよ」と、呆れた表情で話してくれた。森氏や阿部氏は自分たちの主張を押し通すために、基準となるモノサシにまで難癖をつけていたのである。

呆れた無反省ぶり

直接の被害といえるのは、平野氏の居住地域である千葉県柏市やその隣の我孫子市で、公費によるナノ銀除染の実験が行われている。

ナノ銀の除染効果を信じた少なくない企業家がナノ銀の特許申請の費用や実験費用、機材を阿部氏に提供していることもわかっている。 「ジャパンライフ」ほどの被害ではないにしろ、ナノ銀でも確実に被害が広がっているのである。

平野氏はいまだに反省していない。私は2018年5月に「ナノ銀除染の間違いを認めてほしい」という主旨で平野氏に手紙を書いたが、平野氏からの自筆の返書には「これからプルトニュームの処理にしても、廃炉にしても、ナノ技術の活用が大事になると思います。以上のことから、私は、日本でもナノ銀だけではなく、ナノ技術によるさまざまな物質の活用で原発問題を解決する時期になってくると思っています」と書かれており、その無反省ぶりに暗然とした。

公的機関と税金を私物化、政治家の資格ナシ

「桜を見る会」の問題では、安倍首相を「税金の私物化」などと非難している森氏だが、自身も文科副大臣の地位を利用し、「小沢一郎復権」や反原発で選挙を有利にしようという個人的な目的のためにJAEAという公的機関と税金を私物化して、必要のない実験を強要し、その結果、少なくない人たちを詐欺被害に遭わせているのである。

森ゆうこ議員に首相追及の資格はおろか、政治家としての資格もないことは明らかだ。(初出:月刊『Hanada』2020年3月号)

松崎いたる

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