新型コロナでも注目されるネット販売住宅

新型コロナウイルス感染拡大と休業要請を伴う緊急事態宣言により、全国的な住宅展示場の閉鎖が行われている。住宅メーカーの中にはコロナ禍以前から、若年層の取り込みやコスト削減のためにインターネットを通じた戸建て販売を行っているところもあり、今後の動きが注目される。

大和ハウス工業(大阪市)は2019年11月にネット販売限定の戸建て「Lifegenic(ライフジェニック)」を発売した。本体価格は延床面積97.72m2で1978万円(税込み)。住宅生産団体連合会(東京都千代田区)の調査で、ネットショッピングをよく利用する30代が施主の約半数となっていることなどから、若年層をターゲットとし市場に合わせた商品価格帯の追加、煩雑な打合せを簡潔に楽しくすることを考え、ウェブ限定販売商品を発売したという。

まずは顧客がネットで6個の質問に回答するライフスタイル診断やこだわり条件の調査を実施。その後に販売担当者と打ち合せとなり、仕様の確認や家具・照明などのパッケージ提案、現地調査や地盤調査など法的な確認、住宅ローン相談などを踏まえて契約。必要に応じて、大和ハウスの設計士やインテリアコーディネーターとの打ち合わせもあるという。

販売実績は約120棟。大和ハウスでは徐々に販売棟数の増加を見込んでおり、コロナ禍を受けて「メールによるDM発信を企画している。前回バナー広告を実施した際は閲覧数が増加しており、今後も実施予定」と販売活動を展開していく。

ミサワホーム(東京都新宿区)は「MISAWA WEB DIRECT(ミサワ・ウェブダイレクト)」を2008年7月に発売。この頃にはすでに住宅取得者の多くがネットで情報を得るようになっており、工業化住宅のメリットを生かせる手法として導入したという。

手順は顧客がネット上で、間取りや外観、価格をシミュレーション。質問や疑問についてはウェブ上やメール、電話などでサポートデスクに相談できる。そして担当営業社員が付き敷地を調査。希望の間取りで建てられるか確認した上で、かかる資金の概算を見積りし説明。細かい仕様もプレゼンボードで説明する。ここまでが無料となっており、その後は申込金11万円(税込み)を支払い後に正式に見積りを確認。敷地測量・地盤調査を行い、地盤改良工事費などを含む正式見積りを提示。工期や契約内容も確認してもらい、契約となる。

ミサワホームによるとここ数年、特に同商品のPR・広告出稿などは行っていない。それでも検討度の高いユーザーが集まりやすく、サイトをきっかけに問い合わせ、契約に至る顧客は一定数以上いるという。コロナ禍の長期化も考えられる今後の戦略としては「自宅で住まいづくりを検討できるよう、ウェブを介した情報提供、資金や間取りの相談に応えられる体制を強化していく。そのラインアップのひとつとして『MISAWA WEB DIRECT』を提案する」としている。

大和ハウス「Lifegenic」の外観

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