コロナに負けるか! 泉谷しげる、不屈の闘志 阿蘇ロックフェス「来年こそ開催したる」

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阿蘇ロックフェスティバルで熱唱する泉谷しげる=2018年、南阿蘇村(阿蘇ロックフェスティバル実行委員会提供)
2018年の阿蘇ロックフェスティバルで、ステージを下りて聴衆に駆け寄る泉谷しげる(阿蘇ロックフェスティバル実行委員会提供)

 5月に熊本県南阿蘇村の県野外劇場アスペクタで開催予定だった「阿蘇ロックフェスティバル」が、新型コロナウイルスの影響で中止となった。発起人であるシンガー・ソングライターの泉谷しげるが熊日の電話インタビューに応じ、「コロナのバカヤロー。来年度必ずや開催したる」と、悔しさと不屈の闘志をむき出しにした。

 今年8月にもJR豊肥線が再開通する見込みとなった阿蘇地域。復興が大きく前進する中、阿蘇ロックは初の2日間開催を目指して準備を進めてきた。奥田民生ら人気アーティストを招く予定だったが中止となり、「こんなメンバー二度と集められるか」と泉谷は悔しがる。

 阿蘇ロックへの出演を今年で最後にしようと考えていたが、撤回するという。「コロナで最後になるのは嫌なので。僕も71歳で年齢的にきついけど、来年もやります」と衰えぬ勢いを見せる。

 来年は、3月に完成予定の阿蘇大橋を「目玉」にするプランを示す。「熊本地震の後、阿蘇大橋が崩れた現場を見てきたので、本当に完成するのかと驚いた。熊本って回復が早いよね」

 阿蘇ロックは地震翌年の2017年にも開催。被災地に関心をもってもらおうと、会場に阿蘇や天草の飲食ブースを設け、参加者には阿蘇地域の温泉の無料入浴特典をつけるなどして復興を後押ししてきた。

 ただ、“チャリティー”や“復興”といった冠をつけたことはない。泉谷は「チャリティーとすると、お金さえ払えばいいだろうという人も出る。でも地震も地域活性化もお金だけで解決する問題ではない。やっぱり関心をもってもらうことが大事」と話す。

 新型コロナウイルスの感染拡大で日本全土が大打撃を受けている。早く終息するよう祈る一方、「熊本の人は地震の際にも不便な生活を強いられた。今、国民全員が同じように不便な生活を経験している。その経験が困難を乗り越える力になるのでは」との見方も示す。

 泉谷自身も仕事が激減し、初めて長い休息時間を得ているという。「本来なら、半年休んで半年仕事をするくらいで経済を回せるような世界にならなきゃダメ。僕らは物に頼りすぎている」

 「環境問題のことを考えれば、これは経済活動を優先する人間への警告かもしれない。仕事を失い絶望している人には怒られるかもしれないが、これは言い続けないといけない」

 泉谷は、阪神淡路大震災や東日本大震災の被災地をはじめ、口蹄疫[こうていえき]で被害を受けた宮崎県などでも地域を応援する行動を起こしてきた。「感染症や地震などの災害が日常になってきている。『あなたは一人ではない』という態度を示すことが僕らの仕事なんです」

 「今は『コロナに負けるか』という心が大事。熊本の人はたくましいからコロナにも負けないと思う。僕も来年、体を鍛え直して阿蘇ロックをやりますよー!」(平澤碧惟)

 ◇いずみや・しげる 1948年、青森県生まれ。71年、アルバム「泉谷しげる登場」でデビュー。2013年、代表曲「春夏秋冬」でNHK紅白歌合戦に65歳にして初出場。俳優としても活躍するほか、復興支援活動にも力を入れる。