外出自粛GW 長崎県内観光地もひっそり

観光客の姿がなくひっそりと静まり返る大浦天主堂周辺=長崎市

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため移動自粛が求められる異様な状況下のゴールデンウイーク(GW)が29日、本格的にスタートした。本来なら帰省ラッシュでごった返す空港や港、駅は閑散。それぞれの事情を抱えて来県した人の姿は見られた。観光施設のほとんどは休業し、市民の行き場は限られた。
 大村市の長崎空港ロビーはがらんとしていた。国際線出入り口は閉鎖。土産物店関係者は「こんな風景は初めて」と手持ち無沙汰。京都で働く男性(19)は事前に長崎市内の実家に帰省すると伝えた際、親から感染を心配された。「向こうにいてもやることがない。去年は友達と集まったけど、今年はオンラインゲームにしておく」と言う。
 五島市の福江港ターミナルも静まり返っていた。博多発の夜行フェリーから数人の乗客が降り、足早に迎えの車に乗り込んだ。長崎発のジェットフォイルからは乗客が15人ほど下船したが、多くは仕事で訪れたとみられる作業服姿の男性。子ども連れはおらず、島の祖父母らと再会を喜ぶシーンなども見られなかった。
 3月に新駅舎になった長崎市尾上町のJR長崎駅は、特急が到着しても、真新しい駅舎内は閑散。航空機と特急かもめを乗り継ぎ、高知から出張で訪れたIT関係の会社員男性(40)は「1車両に3人しか乗っていなかった。現場に行かないとできない仕事で仕方がない」と話した。
 長崎県内を代表する観光地もひっそり。休館中の同市南山手町の大浦天主堂やグラバー園周辺は、土産物店がシャッターを下ろし、観光客の姿はなかった。近くの駐車場の男性は「例年は昼くらいから満車になるが、きょうはゼロ」。
 雲仙市では仁田峠園地などが5月6日まで閉鎖され、市道小浜仁田峠循環線が通行止め。循環線内にある登山道入り口から普賢岳へ登れない。長崎市内から家族3組で訪れた会社員女性(47)は、通行止めの看板に気付き、散策に切り替えた。「人に会わない登山に来たのに残念。でもおいしい空気の中を散策でき、子どもたちもリフレッシュできた」と満足そう。
 一方、あまり人出が変わらない場所も。長崎市東出津町の道の駅「夕陽が丘そとめ」では、好天に誘われ、ドライブやツーリング中の人が立ち寄っていた。50台収容の駐車場はほぼ埋まり、関東、北海道のナンバーも見られた。同駅関係者は「緊急事態宣言が出ている今の状況からするとお客さんが多いと感じた。県外ナンバーの車も来ていて正直怖い部分はある」。
 諫早市宇都町の県立総合運動公園ちびっこ広場。主な遊具は使用禁止のテープが張られたが、限られた遊具で遊ぶマスク姿の子どもや、家族で弁当を広げる様子が多数見られた。

多くの旅客機の欠航を知らせる電光掲示板=29日午前11時49分、長崎空港

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