「アマビエ」グッズで笑顔に 長崎県内でも和菓子、画像、マグカップ登場 疫病退散に御利益? 江戸期の妖怪

長崎県内でもアマビエ関連商品などがお目見え。(左上から時計回りに)一龍陶苑のマグカップ、白水堂の和菓子、チェブロの画像作品

 新型コロナウイルスの流行を受け、疫病退散に御利益があるとされる妖怪「アマビエ」がひそかに人気を集めている。全国で関連グッズの開発が相次ぎ、長崎県でも和菓子やマグカップなどがお目見えした。

 JTB総合研究所によると、アマビエは、江戸時代後期の1846(弘化3)年、肥後国(現在の熊本県)に出現したと伝えられている半人半魚の妖怪。疫病の流行を予言し、自身の姿を絵にして広めるよう告げたとされる。当時の挿絵付きの瓦版が京都大付属図書館に所蔵されている。
 2月下旬に妖怪掛け軸専門店がアマビエの解説とイラストをツイッターに投稿後、国内外で一気に認知度が高まったという。厚生労働省は4月、新型コロナの感染拡大防止を呼び掛けるキャラクターに採用した。
 県内でも関連商品がお目見えしている。長崎市油屋町の老舗和菓子店「白水堂」はアマビエをかたどった和菓子(1個270円)を発売。ピンクの髪と黄色いくちばしを練り切りで愛らしく表現している。
 「こんな時だからこそ食べて笑顔になってほしい」と白水竜也社長(52)。ツイッターで知ったという女性客は「かわいい和菓子を見ると暗い気持ちも明るくなる」と語った。
 波佐見焼を製造・販売する東彼波佐見町中尾郷の「一龍陶苑」はアマビエを描いたマグカップ(1個1980円)を売り出し、サービス用の塗り絵も作った。売り上げの10%を日本財団による新型コロナの医療関連支援募金に寄付する。
 アマビエの伝承や流行に感銘を受けたという一瀬龍宏社長(53)は「この絵を見てほっとしてもらえたら。頑張る医療従事者も応援したい」と語る。
 「わが町にアマビエが来たら、明るくなるのでは」-。長崎市のデザイン制作チーム「チェブロ」の山田果林さん(31)と山田桜子さん(29)は、市内の出島ワーフや諫早市のフルーツバス停などの風景写真にアマビエを登場させ、ツイッターで発信している。「元気が出た」などの声が寄せられ、2人は「みんながアマビエを忘れるぐらいの日常に戻るまで続けたい」。

アマビエの出現を伝える弘化3年の瓦版(京都大付属図書館所蔵)

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