コロナ死者ゼロ!国民支持率の高いベトナムのコロナ対策を元CA駐妻がレポート

国民を味方につけたベトナムのコロナ対策とは

 

各国が必死に新型コロナウィルス対策をとるなか、国民の満足度がひときわ高いのがベトナム。

 

イギリスの調査会社「ユーガブ」の調査によると、国の新型コロナウィルス対策について国民の満足度が最も高いのがベトナムという結果が出たそうです。

 

現在、駐在員の妻(駐妻)としてベトナムのホーチミンに住む私も、国のコロナ対策はとても迅速かつ見事だった感じています。そしてその対策は結果にも表れていて、現在のところベトナムでの感染者数は270名(そのほとんどが外国人)で、死者は出ていません。

 

ここでは、成功例と言われるベトナムの新型コロナウィルス対策と、新型コロナウィルスという敵に一丸となって立ち向かう、私たちの現在の状況をお伝えします。

 

 

迅速だったベトナム政府の対応

ベトナム政府のコロナ対応は非常に早く、徹底したものでした。

 

コロナ第一報とほとんど同時に、中国便の運航が停止、中国からの入国や貿易が禁止、さらには国境も封鎖されました。

 

その迅速さと徹底ぶりは圧巻のひと言でした。医療水準の低さに対する自覚があったからこそ、ウィルスの侵入を防ぐ水際対策に力を注いだのかもしれません。

 

そして、ベトナムのフック首相は、国内の新型コロナウィルス患者がわずか6名だった1月30日の時点で流行宣言を発令しました。

 

 

要請ではなく強制!容赦なく取り締まる公安警察

私の住むホーチミンでも、2月に入ってすぐ、テニスのレッスンや料理教室など全てのお稽古ごとが休講となりました。

 

あらゆる飲食店は休業となり、ホーチミンの歌舞伎町、レタントン日本人街は、今やゴーストタウンと化してしまいました。

流行の発信地、若者のデートスポットである「髙島屋サイゴン」も、デパ地下を含む全館が休業です。(4月25日より、試験的に時短で営業を再開しています)

 

 

 

 

日本では休業は「要請」とのことですが、ベトナムでは「強制」です。

 

また、マスクを着用しない人、60歳以上の高齢者は外出禁止とされていて、街角には取り締まりの公安警察が立ち、違反者は容赦なく取り締まっています。

 

店先のマネキン人形までマスク装着する徹底ぶり!

 

 

学校ももちろん閉鎖されているので、子供のいる駐妻たちは「外で遊べないから兄弟喧嘩するし、夏休みより大変だわ」と嘆いています。

 

これに関しては日本も同じ状況ではないでしょうか。

 

 

国民の心をひとつにした首相の一声

「国民よ、君たちは戦士だ!」

 

この首相の一声でスイッチが切り替わったベトナム国民。官民一体となりコロナと戦っていこうという首相のメッセージが国民の心に届き、そこからの政府の規範を順守した一糸乱れぬ行動は見事でした。

 

街の空気はピリッと締まり、人々の表情には決意のようなものが見て取れます。

 

特にベトナムの男性は、普段はカフェに入り浸るかハンモックで昼寝をしているような朗らかな様子なのですが、そんな姿からは想像がつかないほどの変わりっぷりです。

 

1つの理想のもと集結したときの、ベトナム人の瞬発力は凄いのです。これこそが、ベトナム戦争を勝利に導いた「ベトコン魂」なのかもしれません。

 

今まで何年も暮らしながら気づかなかった、真のベトナム人の姿を垣間見た気がしています。

 

 

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運命の分かれ道?帰国か残留か

3月、日本の本社から夫に通達がありました。「帯同家族の帰国許可」が正式におりたのです。

 

ベトナムで新型コロナウィルスに感染すれば、ベトナムの医療水準による治療を受けることになります。そのため、ほとんどの駐妻たちが子供を連れて帰国しました。

 

確かに、治療技術では日本が勝るかもしれません。ですが、私は躊躇なく残留を選びました。

 

子供がいないこともありますが、理由はそれだけではありません。今回のコロナ騒動をとおし、ベトナム人の底力というものを肌で感じました。そして、「彼らとともに、この場所で踏ん張ってみたい」という想いが芽生えたのです。

 

 

 一番大切なもの、それは国民の命

「国民よ、君たちは戦士だ!」という首相の呼びかけのように、ベトナム政府はプロパガンダを巧みに利用して国民の心を鼓舞することが上手です。

 

そして、自国民の命を守るためなら妙な遠慮や忖度は一切しない潔さを感じます。一部ではやりすぎという見方もあるようですが、感染拡大の阻止においては、成功例とみてよいと思っています。

 

ホーチミンの夜景には「WE」の2文字が浮かび上がっています。「WE stand strong! WE support our government!(立ち向かおう!わが国家とともに!)」という力強いメッセージです。

 

 

国や地域の特性によって対策は様々かと思いますが、発展途上国でありながらも官民一体となりコロナに立ち向かう姿を、先進国の皆様にこそぜひ読んでいただきたいと思いました。

 

一刻も早い新型コロナウィルスの終息を祈っております。

 

 

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