今年もあの日がやってきた。5月1日──そう、アイルトン・セナの命日だ。セナが天に召されたのは1994年にイタリア・イモラで開催されたサンマリノGPだった。このグランプリではセナの事故死以外にも多くの悲劇が起き、「呪われた週末」と言われた。当時の取材メモをもとに、なぜ悲劇は起き、F1はそこから何を学んだのかを振り返ってみたい。
つまり、1994年のドライバーたちは速くなった怪物マシンを腕でねじ伏せなければならない状況となっていたわけである。そのため、ちょっとしたミスやトラブルによってコントロール不能に陥り、クラッシュが相次いだと考えられる。
そのことは、FIA(国際自動車連盟)がシーズン途中にもかかわらず、インダクションポッドからエンジンのインテークの途中のエアボックスに穴を設置し、ラム圧の低減させて馬力の低減を図ったことでもわかる。
世界最高のF1ドライバーでも事故を起こすのは、そこになんらかの理由があるからだ。サンマリノGP以前に発生していた事故をきちんと検証していれば、サンマリノGPで土曜日以降に続く、さらに大きな悲劇は防げていたかもしれない。