長崎の小さな「おいしい」守りたい 老舗文房具店が生産者応援 県産品詰め合わせネット販売

魅力的な県産食品を詰め合わせたXLセット(石丸文行堂提供)

 長崎市の老舗文房具店が、新型コロナウイルス感染拡大防止策の休業要請で行き場を失った県産食品を詰め合わせにして、インターネットで売り始めた。今、小さな生産者を守らなければ、長崎の魅力が失われてしまう-。そんな焦りを抱いて支援を呼び掛けると、県外からも反響があった。
 びわジャム、からすみドレッシング、薫製きびなごのアヒージョ…。同市浜町の石丸文行堂本店1階に昨年3月開設された売り場「長崎マルシェJimo(ジーモ)」では、こうした「作り手の思いが込められて魅力的だが知られていない」逸品を県内から集めている。
 仕入れ先の多くは、販路が狭い小規模零細事業者。日用ではないだけに、外出や営業の自粛の波をもろにかぶり、在庫をさばけずにいる。文房具店は県の休業要請の対象外だが、同社も感染拡大を防ぐ意図をくみ4月25日から自主休業に入った。一方で、仕入れ先の窮状を踏まえ「すぐに手助けできることを」と翌日から、賞味期限のある食料品のセット販売を開始した。
 休業後に発注すると、ほとんどの仕入れ先がすぐに持ち込んできた。それほど事態は切迫している。同社も本業収入がほぼ絶えているが、石丸忠直社長は「小さな生産者の集合体が“長崎らしさ”。私たちが意識して守らなければ、それは失われてしまいかねない」と、薄利であろうと生産者と消費者をつなぐ役割を果たしたいと考える。
 セットはXL(税抜き1万5千円)~S(同5千円)の4種類。ホームページや会員制交流サイト(SNS)を通じて約50件の注文があり、その7割は県外。趣旨に賛同し購入した本県出身者から応援コメントも寄せられた。
 地元や郷土を消費という形で支えてくれる送り先には、こんなメッセージを同封している。「自宅にいながら長崎のおいしさや魅力に触れる。いつかその地を訪れることを想像して…」

 


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