<今こそ観たい、邦画3選>『復活の日』今改めて注目されている、巨匠・深作欣二の超大作

 改めて注目されている本作は、小松左京の名作を巨匠・深作欣二が映画化。総製作費は25億円という破格の予算で、オリビア・ハッセーやロバート・ボーンなどが出演し、1980年に公開された超大作です。恐ろしい細菌兵器の漏洩事故によって、世界中にウイルスが蔓延し、滅亡に堕ちていくというストーリー。日本からは、草刈正雄、千葉真一、緒形拳、夏八木勲など錚々たる俳優陣が出演しており、各国の大スターたちと引けを取らない熱演を見せています。

 私は原作を中学生の時に読んだのですが、当時、細菌兵器と知らない世界が謎のウイルスに翻弄され、大人も子供もバタバタと死んでいく様子に戦慄したことを覚えています。ウイルスに侵された人々は病院に殺到し、感染した医師や看護師も全員が死んでしまう。アメリカでは、コロナの死者がベトナム戦争で亡くなった人数を超えてしまった今、改めて映画を観ると、1980年に作られた映画とは思えないほどリアルな描写に圧倒されます。

 小さい子供が無常に亡くなっていくシーンは心が痛みましたが、子供が生まれたシーンで、「こんな時に生まれるとは不幸な子だ」という意見に対して、「不幸にしたら我々の責任だ」と、生まれたばかりの赤ちゃんに幸福を祈るシーンが私にはとても印象的でした。映画の中では、とんでもない方法で子供達が生まれていくので、それには衝撃しか覚えられなかったのですが、子供たちはまさに希望。今、この瞬間も新しい命は生まれていて、私たち大人は彼らがこれから生きていく未来を守り、作っていかなければいけない、と思いました。★★★★★(森田真帆)

監督:深作欣二

出演:草刈正雄、渡瀬恒彦、夏八木勲、オリビア・ハッセー

『復活の日 角川映画 THE BEST』DVD 1800円+税

発売元・販売元 株式会社KADOKAWA

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