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中村倫也主演の人気ドラマ『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)放映後に、「キッチンハラスメント」というワードがSNSでトレンド入りしました。
聞きなれない言葉ですが、これは造語で「〇〇ハラスメント」の1つ。
この言葉に「心当たりがある」「私も被害者」と多くの女性視聴者が反応しました。
まずは、ドラマ『美食探偵 明智五郎』で描かれた、夫婦間における「キッチンハラスメント」を見てみましょう。
夫の母から大量の手作りの煮物が宅急便で届きます。
夫「おふくろからか…そうやっておふくろが色々送ってくれるから食費が浮いて助かるな」
妻「かずひろさん、あのね…前にも言ったけど、もう冷蔵庫がいっぱいなの…かずひろさんからお母さんに、もう荷物送ってもらわなくてもいいからって言ってもらえないかな」
夫「お前がどんどん食えばいいんだよ」
妻「私、こういう味付けがあんまり…」
夫「こういう和食の方がヘルシーなんだぞ」
妻「ヘルシー? これが…この砂糖と醤油たっぷりの真っ黒の煮物が…」
夫「お前のお得意な脂っぽいパスタやグラタンより、よっぽどましなんだよ」
妻「もういやああ!」
我慢し続けてきた妻が、ここでキレて料理をぶちまけます。しかし、さすがに妻はまずいと思ったのか、「ごめんなさい」と謝ります。すると、夫は妻をバチーンと平手打ち。
夫「なんてことしてんだよ、お前! 食べ物を粗末にするなんて、小学生でもわかることがわかんないのか! 食え! 拾ってぜんぶ食え!」
そして…妻は床の落ちた姑手作りの煮物を泣きながら食べます。
最後はすでにDV&モラハラですが、これが「キッチンハラスメント」だという風に描写されました。
「ハラスメント」には意図的な場合もありますが、たいがいは無意識なので、加害者の方には自覚がありません。多くの被害者が声を上げて初めて「ハラスメント」が成立します。
一応「キッチンハラスメント」の定義としては、その名の通り、料理の味や盛り付け、台所や食材管理にまつわる“嫌がらせ”ということになっていますが、ドラマはその中でも、“おふくろの味の押しつけ”に焦点を当てていました。
この「キッチンハラスメント」に夫は気づかないどころか、母親がせっかく“善意”で送ってくれた“おふくろの味”を感謝どころか、拒否するなんて…と、下手をすれば、自分の母親が被害者と思っていたに違いありません。
しかし、その“善意”こそ厄介で、この“おふくろの味の押しつけ”こそが、妻にとっては迷惑極まりなく、我慢し続けてきたわけです。
このシーンを見た女性視聴者からは、ネットやSNS上に共感の言葉が並びます。
<たしかにあのキッチンハラスメントは辛いわ~、料理好きの妻なら耐えられない>
<DVやモラハラは大分浸透したけど、このキッチンハラスメントも知ってほしい>
<おふくろの味を大切にしたい気持ちは分かるけど、妻にとっては苦痛でしかない>
一方で、男性からのこんな声もありました。
<嫁があんまり料理できないので、嫁の母が作ってくれる。俺はうれしいけどなあ>
ただ、この意見は、夫が専業主夫ならともかく、ちょっとズレているかもしれません。
しいて夫側に例えるなら…こうだろうと思わせる意見もありました。
<夫の大好きな趣味を否定され、妻の父から“おやじの趣味”を押し付けられる感じ>
なんか、納得したような気もします。
料理や炊事を共同作業している夫婦にはまた別の「キッチンハラスメント」もあるかもしれませんが、とりあえず、一方的なおふくろの味(おやじの趣味)には要注意かもしれません。(文◎編集部)