TikTok、アーティストが自宅から音楽を届ける企画「Living room live」レポート

4月26日、ショートムービープラットフォーム「TikTok(ティックトック)」で正式実装前のライブストリーミング機能“TikTok LIVE”を使った<LivingRoom Live>が開催された。同ライブは、新型コロナウィルスの影響により外出自粛要請が続く中、“自宅で過ごす休日に音楽でリラックスしてもらいたい”とTikTokが企画したライブ音楽プロクラムで、片平里菜、COLOR CREATION、たつや◎(ACE COLLECTION)、Novelbright、橋口洋平(wacci)、Beverly、まらしぃ、みきなつみ(50音順)の計8組のアーティストが一堂に会し、公式アカウントからの生配信ライブをリレー形式で繋いだ。

抜け感のあるカジュアルスタイルで登場したBeverlyは、「みなさん、こんにちは!Beverlyです」と華やかな笑顔で挨拶。早速1曲目に「I need your love」を披露し、抜群の存在感を見せた。次に岡崎体育が作詞・作曲した「尊い」を歌うと、情熱感たっぷりの歌詞にジャジーな艶っぽさを漂わせ、画面越しに実力を見せ畳み掛ける。未来への希望を歌ったバラード曲「Again」をしっとり届けると「声量がすごい」「鳥肌が立った」といったコメントが相次いだ。現在、英語ヴァージョンも配信中の「Again」は、TVアニメ『フルーツバスケット』1 st seasonの主題歌なので、こちらもおうち時間にあわせてチェックしても良いかもしれない。目まぐるしく変わる表情の数だけ、次々と繰り出されていく声色に何度も感情を大きく揺さぶられた。「ステイホームを楽しんでもらうために」とはじまった「Home」。そして、カバー曲「Despacito」(公式日本語ヴァージョン)では、中南米の風が舞うようなラテン音楽特有のアコースティックギターにあわせてスペイン語の“ゆっくり”という意味を持つ同曲のミステリアスなセクシーさを見事に歌い上げた。歌いながら画面越しにカメラへ向けられるセクシーな彼女の目線に緊張感が生まれたかと思えば、MCではリビングルームライブならではのグラスを片手にひと息つく緩んだ瞬間もうかがえるから面白い。さらに小室哲哉と浅倉大介のユニット・PANDRAとのfeat.楽曲で話題となった仮面ライダービルドの主題歌「Be The One」で有無を言わせぬ実力でトップバッターとして30分のミニライブを締めくくった。

続いて、22歳の誕生日を迎えたばかりのみきなつみが、アコースティックギターを抱えてライブを繋ぐ。白いブラウスにチェック柄の愛らしいスタイルで春めいたピンク色の髪にヘッドフォンをかぶり弾き語る姿が愛らしい。「埼玉県出身のシンガーソングライター、みきなつみです」と自己紹介すると、「会いたい人に会えない人、多いと思います。いまはグッとこらえていつか会える日を楽しみに」と、精一杯の気持ちを込めて「ぼくにとってのヒーロー」を披露した。繊細な吐息や鼓動が伝わってくるような、伸びやかに、時に震えるような歌声を近距離に感じ、楽曲の世界にグイグイ引き込まれた。歌い終えた後の「ありがとう」の声が愛らしく楽曲とは違う緊張している様子が伝わるMCに、生配信ライブだということを一瞬でも忘れそうになるくらい夢中になっていたことに気づく。次に披露された「Dear」曲は、TikTokでも彼氏や家族と一緒に撮影されたショートムービーにあわせて使用され親しまれている楽曲。途中、「感動」「最高」とコメントが流れるのを必死に読もうとしたり、時間を気にしながら腕時計を確認したり。「時計が止まってる!」と用意した腕時計を見て焦りながらも笑顔を見せながらライブを進行しつつも、3月にリリースした『君にだけバレてほしいな』のカップリング曲「青春のフィルター」について、「卒業してから気づくことも多い」と卒業して3年経った自身をふりかえり、「あの時は綺麗だったな」と懐かしそうに語った。そして、「青春のフィルター」を歌い終えると、 「今年卒業された方はおめでとうございます」とお祝いのコメントを添えた。自身が追体験したかのように目の前に広がる感情は聴き手の奥まで入り込む不思議な求心力がある。それは、小説のような確固たる物語の輪郭が、歌を通して飛び込んでくるからなのかもしれない。そして発売されたばかりのキュートな乙女心を歌った「君にだけバレてほしいな」で青々しさ全開のライブを最後まで楽しませてくれた。同ミュージックビデオは踊り手のりりり、わた、七河みこの3人が出演。TikTokでも長く愛されるであろうことを予感させる楽曲に仕上がっている。

続いて登場した、総再生回数が6億回を超える大人気ピアニスト・まらしぃ。視聴者のカウントもぐんぐん伸び、ひときわ注目をあびていた。鍵盤は、生配信のために同イベントのロゴを鍵盤の画面に合成で映し出したり、手の込んだ遊びゴコロも。マイペースに“(ライブが)はじまりました”と、SNSを更新、リクエストに応えながらライブを展開した。巧みにテクニックを披露していくピアノさばきは圧巻だ。自宅で至福な時間を噛み締められる同イベントのスゴみを実感せざるを得ない。まらしぃは「縦画面の配信がはじめてで面白い」と“TikTok LIVE”を使用した感想を述べ、「ライブ実装前のこんなイベントに声をかけていただいて大丈夫かな?」とつい本音を漏らした。TikTokをはじめて1週間というまらしぃは、「右も左もわからないのでみなさん教えてください」とコメント。はじめてTikTokにムービーを初投稿したことについて語り、「せっかくなんでフルで弾いてみましょう」とTikTokデビューの思い出の曲「エリーゼのために」を披露。あえて強く弾いた同曲は“ちょっとつよいエリーゼのために”というコメントとともに投稿され反響を呼んでいるが、その後はアニソンを立て続けにカバーしていった。鍵盤の上に置かれた初音ミクのぬいぐるみなどアニメ好きなことは容易に想像できるが、ファンも同様でアニソンメドレーにはコメントが乱れるほど沸いた。「残酷な天使のテーゼ」には「カッコよすぎ」「やばい」と歓喜のコメントがすさまじい勢いで流れる。さらにTikTokでもタレントがコスプレ動画を投稿するなど話題を呼んでいる人気TVアニメ「鬼滅の刃」の主題歌「紅蓮華」でリスナーをヒートアップさせた。ピアノの旋律や弾みでファンとコミュニケーションを楽しんでいる軽やかさに心も弾むライブ。Ms.GREEN APPLEの「インフェルノ」をカバーすると、コメントでファンが掛け合いを見せるなど一体感も生まれた。この日、ローランドの新しいピアノで演奏していたまらしぃは、「初音ミクの消失」などをピアノの機能を楽しみながら弾く。最後は配信ライブでは恒例、「今日お誕生日だった人います?」との問いかけ、自身の妹も数日前に誕生日を迎えたことを話しつつも、誕生日のリスナーのために演奏をした。そして最後に大変な時期だけどと前置きし、「(この生)配信できてるから実装されたらやりたい」「TikTokも見てもらったら嬉しい」とラストはポカリスエットのCMソング「青く駆けろ!」でコメント欄をブルーに彩った。

未来へ向けて力強いライブをぶつけてくれたのは、COLOR CREATIONの5人。コロナ対策の為、ソーシャルディスタンスをとってのライブとなったが、久しぶりの5人が集まった姿にファンも喜んだ。「僕らの未来へ向けて1曲送りたい」とはじまったのは、「GREEN LIGHT」。ライブ感溢れるラップやリズムにあわせて身体を揺らしながら歌う姿に、画面越しながら心は踊る。そして流行りの曲をカバーしたアカペラコーナーを挟みつつも、ライブは加速の一途を辿る。アカペラコーナーでは、最近はメンバー集まれないので遠隔アカペラを投稿しているという近況挟んだ。画面越しながらも混ざり合う5人の高らかに響く掛け声やハーモニーは衰えることなく、「今回、僕らがいつもライブでやってる曲をTikTokヴァージョンでたのしんできましょう!」とTAKUYAが「Saturday Night」の曲紹介をする。<come on shake your body>と元気なかけ声とともに大きく左右に手を揺らしたり、<LIVING ROOM LIVE>ということを忘れてしまうような盛り上がりを見せた。続く、「Crazy Cruising」でもRIOSKE、TAKUYA、JUNPEI、KAZ、YUUTOの5人がそれぞれの個性を放ったマイクリレーで魅了する。「おうち時間、充実してますか?」との問いもあったが、これだけの音楽プログラムを用意されて、充実しないわけがない。ラストは新曲「Going On」までも初披露。疾走感のあるイントロから、「画面越しのみなさんクラップをお願いします!」と元気よくKAZが呼びかけた。紆余曲折、毎日たいへんな時期だからこそ、未来へ向かって希望あふれるライブを披露してくれた彼らの前向きさに救われた人たちも多かったことだろう。「ステイホームということで、気をつけながらおうちで有意義な時間をつくってください」とステージを後にしたが、COLOR CREATIONのライブはどこまでも躍動感があり、早く生身の彼らのライブへ行きたいと思わせるような、特別感あふれるひと時だった。

ライブも後半に差し掛かった頃、登場したのは、シンガーソングライターの片平里菜だ。ボーダーのシャツを着てギター1本を片手に部屋から弾き語りする彼女がはじめに選んだ曲は「晴天の兆し」。こんな時期だからこそ、寒い冬から春へと移り変わるように、希望を持ってと彼女らしいセレクト。その後も、励ますように温かく血を通わせながら演奏するライブには何度も胸が熱くなった。「参加させてもらってありがとうございます。変な感じ」と少し戸惑いながらもブルースハープを準備しながら「風のように良くも悪くも広がっていってしまうけど、なんとなくこの曲を歌いたくなって」と、ボブ・ディラン「風に吹かれて」をカバー。日本語ヴァージョンで歌われた同曲は<どれだけミサイルが飛んだら戦争は終わるの? その答えは風の中さ 風が知ってるさ>という歌詞が心に刺さった。その後もTHE BLUE HEARTSの「夕暮れ」と胸を揺さぶる楽曲を次々に披露し、ファンを夢中にさせた。「夕暮れ時の真っ赤な空のように、それよりもっと赤い赤い血が流れてる」と語り、そして「夕暮れ時には大事な人をギュッとしたいと思う、そんな曲です」とミドルなテンポに優しくも秘めた血の赤を見事に歌で表現していた。どこにそこまでのエネルギーを秘めているのかと思いながらも、最後はちょっぴり気の強い女の子の心情を歌った「女の子は泣かない」エモーショナルな歌でまた違った表情を見せてゆく。MCでは、TikTokはじめて間もないんですけど、告知用に昨日自分のアカウントから投稿したものがバズってると報告。「自宅待機というか家にいるんですけど、(コロナが終息したら)思いっきりうたいたいと思ってるので、その日までどうかご自愛ください」と述べ、ラストは「オレンジ」を歌たい前向きに締めくくった。彼女の透き通るような歌声には、常にどこか強さが感じられる。その強さは、何かを乗り越えるのに必要な心地良い緊張感にも繋がっているようにも思えた。

そして、普段はバンドで活動しているACE COLLECTIONからは、たつや◎がソロで登場。「TikTokだぜ」と書かれたノートをもって出てくるなど、工夫をこらしながらコミュニケーションを楽しんでいる様子が印象的だった。画面との距離に「僕はこんなに近いんですけど」と戸惑い緊張しながら、まずは「約束のしおり」を弾き語り。2人の止まった時間にしおりを挟む、独特な視点の切ないラブソングに夢中になるも遠足を楽しみにして眠れない子どものようにどこかソワソワしているたつや◎。「はじめましての弾き語りで緊張してサビから歌い直させていただきます」と、仕切り直す場面もありがながら温かいアットホームさに溢れるライブに心が和んでいった。夜にコンビニにいく道の中で書いた曲をと演奏されたのは「Lady」。ちょっと気怠さを感じさせる同曲にも無邪気なアレンジを織り交ぜると、「かっこいい」「アレンジが好きすぎる」とコメントが。「パーカーがめっちゃおちてる」と歌いふざけてファンを笑わせる場面も垣間見れ、その距離感の近さに笑顔があふれた。そして、「コメントのリクエストにこたえていこうとおもいます」と、仕切り直して「拝啓、君は・・・」を披露。絵が浮かぶような同曲から溢れる純愛のドラマが、真っ直ぐに伝わった。YouTubeでカバー動画を投稿するなど、精力的にリアルとネットでの活動を繋げてきた彼らは、待望のメジャーデビューミニアルバム『L.O.V.E.』をリリースしたばかりだが、同曲は本作にも収録されている。情景溢れるラブソングが詰め込まれた本作は必聴の1枚。そして、TikTokでの活動を振り返ると、「そういえば過去に一度、話題になった曲がありまして、その曲せっかくだけどちょっと歌おうかな」と、セットリストにない曲まで披露する場面も。「不要不急で外に出ないといけない人も、これを聞いてくれてる中にはいると思うし、みなさんひとり1人が大切な人を助けるためにも今を乗り越えられるのが1番だと思います。これもいつまで続くかわからないけど、お互い元気でいましょう」と最後はエールを送った。そしてAbemaTV『僕だけが17歳の世界で』主題歌、「70億にただ1つの奇跡」でライブを締めくくった。

続く、Nobelbrightもこの日はバンド編成ではなく竹中雄大(Vo)と沖聡次郎(Gt)の2人が登場。スタートから新曲「君色ノート」を披露すると、ファンからは「泣けてきました」と歓喜のコメントが続いた。突き抜けるような希望を包み込むように優しく歌い上げる様は見事であり、生配信ということも忘れてしまうような熱量に圧倒された。「公式でリリースされてるライブ配信でないとのことで、貴重な生配信。画面を見ながら一緒にライブしていきたいと思います」とコメントを眺めつつも、ライブは進む。4月前半からヴァーチャルライブツアーを3日に1回、実施してきた彼らだが、TikTokのお陰で知ってくれた人も増えたと話し、「今日の動画を是非あげてほしい」とコメント。デビュー前、路上ライブツアーの動画をTikTokで投稿。それがきっかけとなり人気も急上昇で活動を加速させた彼らだが、それは路上ライブでも目を引く高いスキルがあってのこと。ゆったりとしたアルペジオのギターにノセてひときわ輝く竹中の世界一の口笛が響き渡った「また明日」には、ファンから「最高です」「うますぎ」とコメントが沸いた。中学時代に口笛界のレジェンドで口笛奏者のヒールトシャトローに頼み込んで教わったという口笛スキルの高さには鳥肌が立つほど。さらに、路上ライブをしていた当時、よくやっていたという「One Last Time」(Ariana Grande)のカバーで突き抜けるハイトーン・ヴォイスを響かせると、リスナーも驚きを隠せない様子だった。配信ライブでもここまで伸び伸びと歌う姿に、路上ライブでの彼らの演奏を思わず重ねてしまうほどエネルギーに満ち溢れたライブであった。そして、ラストの1曲は「Walking with you」も真っ直ぐな気持ちを精一杯に響かせた。

同イベントのトリを飾ったのは、5人組ポップスバンドwacciの橋口洋平(Vo)による弾き語りだ。wacciと言えば「別の人の彼女になったよ」がプロアマ問わず多方面でカバーされたりと、その光る楽曲センスの高さに注目が集まり話題を呼んでいる。そして、同イベントでも自身が口にしたとおり、「こういう時だからこそ聞いてほしい曲がwacciの曲の中にはある」のだ。コロナで大変な中、頑張って生きている皆さんにとエールを送ったのは、「大丈夫」。この張り詰めた状況下に、肩の荷が下りた感覚にさせてくれる同曲。もどかしい葛藤も素直に受け止め、強く前を向ける、そんな1曲をエモーショナルに歌い上げた。TikTokから広がっていった曲が多いことについても触れ、この日はそんな楽曲を中心にライブは展開された。普段は弾き語りやカラオケで歌った動画を投稿していたという橋口だが、「感情」の次にたくさん曲を使ってもらえてることへの感謝の気持ちも込めて「空に笑えば」を披露した。心地良い温度感を知っているかのような橋口の歌声。そして、路上で歌ってる人やネットでもたくさんの人にカバーされている「別の人の彼女になったよ」も披露した。独自の切り口のラブソングは定評があるが、鋭い気持ちの変化を捉えた曲もあればストレートな曲もある。ギターと歌声から鼓動が伝わってくるような熱いライブ。最後は母の日も近いということで、「花束にして」でライブを終えた。生まれてからこれまでの感謝を歌い上げたまっすぐな親子の絆に、胸を打たれた。「会えなく過ごしてる人もいるかもしれない」という人の気持ちも込めて歌われた同曲だが、最高のプレゼントをTikTokでこの楽曲に乗せて贈るのも良いかもしれない。

<Living Room Live>は正式実装前のライブストリーミング機能“TikTok LIVE”を用いて行われたが、今後も多くのタレントらがこのショートムービープラットフォームを通じて多くの感動を伝えてくれるだろう。そう予感させる、とても素晴らしいものであった。また、TikTokではハッシュタグキャンペーンなど独自の投稿テーマを設けたキャンペーンも多く実施している。この日の出演者の楽曲を使用して、TikTokの投稿を楽しんでみてはいかがだろうか。

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