新型コロナ禍で影響あり? 西武中村が挑む史上9人目の通算500本塁打への道

西武・中村剛也【写真:荒川祐史】

門田博光は40歳で自己最多タイ44本塁打、2冠獲得

新型コロナウイルスの感染拡大で、開幕が延期となっているプロ野球。緊急事態宣言の延長でさらに開幕が先延ばしになる可能性も浮上しており、今季は試合数の減少は避けられない情勢だ。巨人の坂本勇人内野手の史上最年少2000安打への影響が取り沙汰されているが、36歳にして通算500本塁打まであと85本としている西武・中村剛也内野手の挑戦にも大きな影響を与えそうだ。

長いプロ野球の歴史の中で、通算500本塁打以上は過去8人しかいない。これまでに達成したのは王貞治(巨人、868本)、野村克也(南海など、657本)、門田博光(南海など、567本)、山本浩二(広島、536本)、清原和博(西武など、525本)、落合博満(ロッテなど、510本)、張本勲(東映など、504本)、衣笠祥雄(広島、504本)だけだ。

中村はこれまでに現役最多、歴代16位の通算415本塁打を放ってきた。1983年8月15日生まれでプロ18年目、36歳シーズンの昨季は、123打点で4年ぶりの打撃タイトルを獲得し、本塁打も30本で4年ぶりに大台に乗せた。近年はケガが増えているが、規定打席数をクリアした8シーズン中、7シーズンでタイトルを獲得し、うち6シーズンで本塁打王に輝いているのだから、驚異的な確率である。

過去の500本塁打突破者が36歳シーズンまでに放った本塁打は、王=716本、野村=516本、清原=480本、張本=436本、山本=416本、衣笠=404本、門田=355本、落合=342本。中村は衣笠、門田、落合を上回り、山本ともわずか1本差とペースは速いといえる。

今季試合数は減る見通しで、将来的な500本塁打到達の障害になりかねない

ところが、そこにコロナ禍が立ちふさがった。中村は今年、右ふくらはぎ痛のため春季キャンプ中は2軍で調整。3月3日の中日とのオープン戦(ナゴヤ球場)で1軍に初合流すると、異例の1番でスタメン出場し、いきなり初球を左翼席へ運んだ。「たぶんまっすぐです。打ててよかったです」という素っ気ないコメントは、通常のシーズン通りだった。

調整がやや遅れていただけに、開幕が延期された上で全試合を消化できれば、というところだったが、今季試合数が減る見通しとなり、将来的な通算500本塁打到達には大きな障害になりかねない。セ・パ交流戦で歴代トップの通算77本塁打、205打点を誇る中村にとっては、得意の交流戦の中止が決まったことも痛いが、開幕時期自体、いまだ見通せない。

中村が来季迎える38歳シーズンといえば、ミスタープロ野球こと長嶋茂雄(巨人)が現役引退した年にあたる。500本塁打突破者の38歳シーズン以降の本塁打数は、門田=189本、落合=134本、野村=106本、王=102本、山本=84本、衣笠=69本、張本=68本、清原=33本。40歳シーズンに自己最多タイの44本塁打、自己最多の125打点をマークし2冠に輝いた門田のような例もあるが、中村はなんとも微妙な本数を残し、年齢との戦いに臨む。当面は、あと29本に迫る長嶋の通算444本(歴代14位)、あと35本の区切りの通算450本(歴代13位相当)が近い目標となる。(Full-Count編集部)

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